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コロナでマスクの時代に 
皮膚の健康に注意

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解消された後も、政府は「密閉・密集・密接」の3密を避け、常にマスクを着用する新たな生活様式を求めている。マスクの常時着用による皮膚への負担はないのか。専門家は、炎症が起きた場合などの素人判断による薬の使用を避けるとともに、皮膚が敏感な人などは顔のパックなど過剰なケアを控えるようアドバイスしている。

富山県氷見市の女性下着メーカーがブラジャーから作ったマスク

富山県氷見市の女性下着メーカーがブラジャーから作ったマスク

 ◇炎症と細菌感染

 「もともと通気を抑制するためのマスクなのだから、マスクの内側は呼気や発熱で温度が上がり、湿度は高くなる。しかも常に不織布やガーゼによる摩擦も加わるので、屋外での作業の多い人などは皮膚への負担はそれなりにあるだろう」

 長年、東京都内で皮膚科クリニックを開業してきた楠俊雄医師はこう切り出した。

 蒸れと摩擦が皮膚に引き起こすのは、大きく分けて炎症と細菌の感染だ。前者は皮膚が刺激されることで起き、後者は皮膚表面の防御機能が損なわれて黄色ブドウ球菌などが繁殖してしまう。

 予防のためには皮膚表面とマスクを清潔に保ち、摩擦によって失われる皮脂成分などを補充すること。特に摩擦が大きくなるマスクの縁に接する部分のスキンケアは忘れないようにしたい。

楠俊雄医師

楠俊雄医師

 ◇効果正反対の二つの薬

 「外出から帰宅したら、手洗いと同時に、マスクを外し顔も洗ってほしい。頻繁に手を洗うため、手荒れを起こしている人も多い。必ずハンドクリームを塗ること。そして、マスクはこまめに交換するか、少なくとも1日使用したら洗う必要がある」と楠医師は話す。女性の場合は化粧にも注意したい、と言う。

 マスク着用部位に赤い発疹やかゆみなどの自覚症状が出てきたら、炎症や細菌感染を疑いたい。どちらも見た目では区別がつきにくいので、皮膚科医の診断を受けるのが安全だ。

 「炎症であればステロイド軟膏、細菌感染であれば抗菌薬を使うことになる。この二つの薬は効果が正反対なので、素人判断は症状を悪化させてしまう」と楠医師は警告している。その上で、「暑い中でマスクを長時間着用していると、脱水などによる熱中症のリスクも生じる。その意味でも安全な場所で定期的に外して、水分補給と手洗い、可能であれば洗顔も心掛けてほしい」と呼び掛ける。

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