治療・予防

糖尿病が引き起こす皮膚のかゆみ
血糖コントロール不良で悪循環(昭和大学病院皮膚科 末木博彦主任教授)

 糖尿病になって血糖値が高い状態が続くと合併症を引き起こしやすい。皮膚症状はその一つで、乾燥してかゆみが表れやすく、湿疹や皮膚の感染症にかかる原因になる。昭和大学病院(東京都品川区)皮膚科の末木博彦主任教授に、糖尿病と皮膚のかゆみの関係について聞いた。

糖尿病と皮膚のかゆみの関係

 ▽皮膚の老化が進行

 高血糖の状態が持続すると、血液中のブドウ糖(糖質)がタンパク質と結び付いて細胞が劣化する「糖化」が起こり、タンパク質の働きが低下する。「糖化は皮膚の老化の原因になります。糖尿病患者では糖化によって皮膚の機能低下を引き起こし、実年齢よりも早く皮膚の乾燥が進みます」と末木教授。

 中でも発病期間が長い人、中等症や重症患者では、知覚が低下する神経障害を合併する例が多く、汗の分泌をコントロールする自律神経の機能に障害が起こる。すると、発汗しにくくなって皮膚表面の水分量が減り、乾燥と同時にかゆみや湿疹が生じ、皮膚をかくことで症状の悪化につながるのだという。

 皮膚の一番外側にある表皮には、皮膚の水分が外に出ていくのを防ぎ、外から細菌やウイルスなどの異物が中に進入するのを防ぐバリアーの役割がある。末木教授は「乾燥が進むと皮膚表面が細かくひび割れた状態になり、ここから水虫の原因である真菌や化膿(かのう)の原因になる細菌などが侵入しやすくなり、皮膚の感染症にかかるリスクが高まります」と説明する。糖尿病患者は水虫の悪化や爪の水虫である爪白癬(つめはくせん)の発症リスクが高いことが分かっているという。

 ▽保湿でスキンケアを

 糖尿病患者がいったん感染症にかかると重症化しやすいことも知られている。体を守る免疫の働きを担い、細菌やウイルスなどの侵入を防ぐ白血球の一種である好中球(こうちゅうきゅう)の機能が低下するためだ。また血管障害が進み、血流が悪化することで十分な酸素や栄養を届けられず、抗菌薬などが効きにくくなることも原因だ。そのため、水虫が悪化して皮膚潰瘍の誘因になりやすく、症状が進んで壊疽(えそ)に至り、足を切断せざるを得なくなる恐れもある。

 こうした重篤な状態を避けるには血糖値をコントロールすることが重要だ。「医師の指示に従って、糖尿病の治療を受けることが皮膚トラブルをはじめとする合併症の予防になります。また、市販の保湿剤を使って乾燥を防ぐセルフケアが大切です。特に冬場は乾燥が進んで症状が出やすいので注意しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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