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がんの治療後に手足にむくみが出る「続発性リンパ浮腫」。動作の困難や皮膚の異常なども来す難治性の病気だ。亀田総合病院(千葉県鴨川市)リンパ浮腫センター長で、亀田京橋クリニック(東京都中央区)にてリンパ浮腫外来を担当する林明辰医師に聞いた。
リンパ浮腫の進行と症状の変化
▽治療でリンパが滞る
リンパ浮腫とは、リンパ液の流れが滞り、手や腕、足やふくらはぎ、太ももなどにむくみが生じる病気。原因不明の「特発性」と原因が明らかな「続発性」があり、続発性の多くはがん治療が原因で発症する。
特に乳がん、卵巣がん、子宮がんといった婦人科系がんの治療後に見られる。「手術では、転移を防ぐため病巣周辺のリンパ節を切除することがあります。リンパ管からリンパ液を回収する役割があり、切除すると流れが停滞します。その結果、リンパ管からリンパ液が漏れてむくみが生じます」と林医師は説明する。停滞が続くとリンパ管に負担がかかり、管が狭くなって閉塞(へいそく)に至る。このような変性で浮腫が悪化する。
また、放射線療法では病巣近くのリンパ節に放射線が照射され、化学療法では抗がん剤の一部がリンパ管に流れ込む。「手術、放射線療法、化学療法のいずれもリンパ浮腫を起こす可能性があります」
▽早期診断がカギ
早期には腕や脚のだるさなどの症状があるが、軽症で気付きにくい。むくみを自覚する頃には中等症に進んでおり、脂肪もついて腕や脚の太さに左右差が出る。重症になると、日常の動作が不自由になり、皮膚が赤く腫れる蜂窩織(ほうかしき)炎なども起こる。
完治は困難だが、リンパ管の機能が保たれている早期に治療を行えば、進行を抑えることが可能だ。脂肪の沈着も防げる。機能は画像検査で診断する。治療は、圧迫療法や「リンパドレナージュ(マッサージ)」などに加え、リンパ管と静脈をつなぎ合わせてリンパ液の停滞を解消する「リンパ管細静脈吻合(ふんごう)術」などが行われる。
「がんの治療後は、リンパ浮腫外来などで定期的に画像診断を受けるといいでしょう。早期の診断と治療で、以前と変わらない日常生活を送ることも望めます」と林医師は語る。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/29 05:00)
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