2024/11/29 05:00
なぜ尿検査では中間尿を使うのか
外来診療をしていると、「採血前は食事を抜いてきた方がいいですか」と聞かれることがあります。
写真はイメージです【時事通信社】
検査項目によって、食事の影響を受けるものと、受けないものがあるので、一概には言えませんが、基本的には空腹時の血液検査をお願いしています。
◇食事による影響
食事の摂取によって、どのような影響を受けるのでしょうか。
最も食事の影響を受けやすいのは、血糖値です。空腹時血糖の基準値は110mg/dLですが、食後すぐに血糖値は上昇するため、食後採血では健康な人でもこの値を超えてしまいます。
空腹時血糖は糖尿病の診断や治療効果のモニタニングに使われる重要な検査項目です。検査結果のばらつきを抑えるためにも、検査日は起床時から水、お茶、ブラックコーヒーなど、糖質を含まないものの摂取にとどめるのがよいでしょう。
また、TG(中性脂肪)も食事の影響を受けます。私の外来患者さんでも、前回と比較して、大幅に中性脂肪が上昇した人に聞いてみると、前日にうなぎや焼肉などの脂質が多いものを食べていた、ということが多いです。
脂質は糖質と比べると、食後、緩やかに吸収されるため、中性脂肪の値も徐々に上昇し、数時間は高値が続きます。中性脂肪が検査項目に入っている人は、検査日だけでなく、前日も脂質の多い食事は避けていただくと、本来の値を確認しやすくなります。
他にも、コルチゾールやインスリンなどの採血項目も、食事の影響を受けますが、一方で、食事に関連がない項目もたくさんあります。自分が何のための血液検査を受けるのかを確認し、食事をしてきていいのかを、主治医に聞いておくとよいでしょう。
◇食後の採血で分かることも
一部ではありますが、食事を取ってからの採血でしか分からないこともあります。空腹時血糖が正常な糖尿病はその代表例です。
糖尿病の診断基準の中には、空腹でないときの血糖値も含まれています。食後の高血糖は心筋梗塞や脳梗塞のリスクであることが示されており、空腹時血糖だけでは、糖尿病スクリーニングとしては不十分なのです(編注)。
主治医と相談の上、あえて食事を食べてから採血してみると、改めて分かることがあるかもしれません。
(編注)参考文献:Qiao Q, Nakagami T, Tuomilehto J, Borch-Johnsen K, Balkau B, Iwamoto Y, Tajima N; International Diabetes Epidemiology Group; DECODA Study Group: Comparison of the fasting and the 2-h glucose criteria for diabetes in different Asian cohorts. Diabetologia 2000; 43: 1470-1475.
(2022/01/27 05:00)
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