話題 2024/12/19 05:00
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朝起きられず、学校を遅刻・欠席するのに、夕方からは元気になり夜遅くまで起きている―。さぼりや怠けに見える子どもの行動に「思春期に多い起立性調節障害(OD)という体の病気が隠れているかもしれません」と岡山大学病院(岡山市)小児医療センター小児心身医療科の藤井智香子医師は指摘する。
岡山県教育委員会のHPからダウンロードしたPDF画面
▽子どもに受診提案を
ODは自律神経がうまく働かず、起立時や午前中に脳への血流低下でさまざまな症状が起こる。小学校高学年から中学・高校生に多く、遅刻や欠席が続くと学業の遅れから進路に影響する。
親や教師だけでなく、「一番困っているのは本人です」と藤井医師。朝起きなければという気持ちと、できない体調の悪さの間で葛藤している。親や教師が「登校しづらくなる体の病気があるから診てもらおう」と誘うことが大切という。
中学生までは小児科を、高校生以上は内科などのかかりつけ医を受診する。診察や血液検査、心電図検査などを行い、他の病気がなければ、午前中に静かな部屋で、安静時と起立1、3、5、7、10分後の血圧と心拍数を測定する「新起立試験」で診断する。
▽家族や学校の協力
治療では薬を用いることもあるが、日常生活で〔1〕無理のない範囲で運動する〔2〕水分をしっかり取る(1日2リットル程度)〔3〕規則正しい生活を送る―ことが重要だ。医師の指示で段階的に取り組む。
例えば、軽症なら毎日15分程度の散歩、重症で寝たきりなら家の中で足を動かすことから始める。昼夜逆転していれば、正午起床午前0時就寝を試みる。学校には午後から、あるいは別室に登校したり、放課後の部活だけ参加したりする。
治療には、本人と医療機関だけでなく、家族や学校の協力が不可欠となる。「OD対応ガイドライン(岡山県教育委員会HPからダウンロード可)などを参考に、子どもが治療に取り組めるよう周囲が支援してください」と藤井医師。
本人、病院、家族、学校の4人5脚により適切な治療が行われた場合、多くは日常生活にほぼ支障が出ない状態まで改善する。藤井医師は「診断はスタートラインです。そこから本人も親も教師も多くのことに悩むでしょう。困ったことがあれば遠慮なく医師に相談してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/03/05 05:00)
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