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敗血症は、新型コロナウイルス感染で重症化した人に高率のリスクがある上、世界で年間に約5千万人がかかり、うち1千万人以上が亡くなるとされる。どのような病気なのか。千葉大学大学院医学研究院(千葉市)救急集中治療医学の中田孝明教授に聞いた。
敗血症の患者と死亡者数は増えている
▽どこにでもある菌で
敗血症は「感染に対する体の反応が、自らの組織や臓器を侵すことで生じる、命に関わる状態です」と中田教授は説明する。「きっかけの病原体は細菌、ウイルスなどさまざまですが、ブドウ球菌や大腸菌が多いようです。どこにでもある菌による感染症が敗血症の引き金になります」
特有の症状はなく、発熱や吐き気、下痢など、感染症の一般的な症状に加え、寒気、息切れ、呼吸数や脈拍の増加などのさまざまな症状が重なって表れる。適切な治療を受けないと急速に重症化する。
「敗血症なら、すぐに集中治療室(ICU)での専門的な治療が必要です。血圧低下や尿量減少を来す敗血症性ショックという状態に進むと、命の危険が高まります」
▽敗血症死亡が大幅増
中田教授らは国内における敗血症の実態を明らかにした。2010~17年に健康保険で入院診療を受けた全国の成人患者のデータ約5千万人分を解析した。
それによると、約5千万人のうち8年間で約200万人(約4%)が敗血症を発症し、約36万人(患者の約18%)が死亡した。患者の年齢中央値は76歳。院内死亡率は約20%と高率だった。敗血症の患者数は10年の年間約10万人から17年には約36万人に増加し、入院患者全体に占める敗血症患者の割合は約3%から約5%に上昇した。敗血症による死亡も、17年には10年の2.3倍に相当する約6万人に増えた。
「敗血症は誰でもかかる可能性がありますが、高齢者、新生児・乳児、がんや糖尿病の患者さん、免疫抑制薬服用中の患者さんらは感染症にかかりやすいため、敗血症のリスクも高いです」と中田教授は話す。
「通常の感染予防策に加え、敗血症を疑う症状があったら速やかに医療機関を受診し、感染症の治療を受け、敗血症にならないようにすることが大切です」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/03/14 05:00)
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