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首を後ろに反らしたり、回転させたりした時に起きる「頸(けい)性めまい」は、あおむけの姿勢で洗髪してもらう時や長時間何かを見上げた時にも起きることがある。東京医科大学病院(東京都新宿区)整形外科の遠藤健司准教授に原因と対策を聞いた。
あおむけの姿勢で首から脳への血流が滞る
▽首の血管が圧迫
美容院での洗髪時に、めまいの他に吐き気、頭痛、手のしびれなどが生じた事例が国内外で報告されている。遠藤准教授によると、症状の多くは一過性で、3~5分間の安静で治まるという。
あおむけでの洗髪以外に、天井の照明灯を交換する、映画館の最前列で鑑賞するといった時にも頸性めまいは起こり得る。こうした「見上げる姿勢」だけでなく、背中を丸め、顎を突き出した姿勢でスマートフォンなどを見る時も要注意と言える。
これらの姿勢に共通するのは、首から脳への血流が一時的に滞ること。例えば、あおむけで洗髪してもらう場合、椅子を倒し、シャンプー台の縁に首を乗せて後ろに反らす姿勢になりがちだ。すると、首の後ろ側の左右をそれぞれ通って脳に至る椎骨動脈が頭と首の骨に圧迫され、血流が滞ってしまう。
その間に血の塊(血栓)ができることも発症に関わる。反らせた首を元に戻すと血流が一気に再開するが、血栓も押し流されて脳に達し、血管を詰まらせるという。
▽首の姿勢に注意
見上げた途端に全ての人にめまいが起こるのではなく、幾つかの条件が重なった時が危険だ。例として、遠藤准教授は「生まれつき左右の椎骨動脈のどちらかが細い人がいます。そのような人の太い方の血管が圧迫されて血流が滞ると、細い方では十分に補えず、脳が血流不足となってめまいなどが生じるのです」と説明する。圧迫の時間として「5分以上はリスクが大きいでしょう」。
また、糖尿病や高血圧といった持病で動脈硬化のある人、大量に汗をかくなど脱水状態の人は血栓ができやすいという。
遠藤准教授は予防策として、首を後ろに反らしたり、顎を突き出したりする姿勢に気を付けるよう呼び掛ける。姿勢をよくすることや、腕を動かして左右の肩甲骨を動かす体操も勧める。また、動脈硬化を防ぐには生活習慣病の予防や管理も大切だ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/05/07 05:00)
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