治療・予防

予期せぬ揺れが原因
車酔いの簡単な予防法(横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科めまい・平衡神経科 新井基洋部長)

 嘔吐(おうと)や体調不良の原因になり、旅行の楽しい気分を台無しにする「車酔い」の理由や予防・対策について、横浜市立みなと赤十字病院(横浜市)耳鼻咽喉科めまい・平衡神経科の新井基洋部長に聞いた。

 ▽未経験の揺れで不快に

 車酔いは、目と耳、体の位置情報の三つのバランスがずれたときに起こる。このずれが生じやすいのがドライバー以外の同乗者だ。カーブを走行すると、ドライバーは切ったハンドルに合わせて無意識に体のバランスを取るが、同乗者は体の位置が変わらないまま揺れをまともに受け、内耳が刺激され、目から入る情報とはぶれが生じる。

 体が横に振られることで耳には「予期せぬ加速度が加わった」という情報が不意に伝わる。そして、内耳の三半規管・耳石器と目、足の裏からの体の位置の三つの情報が脳に送られる。脳の過去の揺れの記憶(バランス情報)と、今の揺れの情報が照合される。

 「感じた揺れが、過去の揺れの記憶を超えると、扁桃(へんとう)体から『不快』の情報が視床下部、自律神経の中枢に送られ、すぐに吐き気、嘔吐などの症状が出ます」と新井部長。バランス情報の蓄積が少ない子どもが車酔いしやすいのはそのためだ。小中学生の30~40%が経験するとの報告がある。

 ▽平衡訓練で予防

 予防するには、目、耳、体の位置のバランスの乱れが起きにくい姿勢を保つことが重要だ。乗車中はシートベルトをして頭をヘッドレストに付け、スマートフォンなどを見ずに前を向き、遠くを見るとよい。

 吐き気や嘔吐は自律神経の副交感神経が優位なときに起こる。そのため、「冷たい水を飲む、氷をなめるなどで交感神経を刺激すると予防になります。酔い止め薬を使うのもよいでしょう。睡眠不足や体調不良のときは車酔いしやすくなるため、体調管理も大切です」と新井部長。

 また、小さい頃から車に乗り、脳に揺れの情報をできるだけ蓄積しておくとよい。

 「今後、自動運転車が普及すると運転席でも車酔いする人が増える可能性もあります。車での外出や旅の事前の準備として、毎日の簡単な平衡訓練を行うのも車酔いを防ぐ可能性があります」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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