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運動や生活習慣の改善を通じ、心不全や急性心筋梗塞の再発予防を図る心臓リハビリテーション。有効性は確認されているが一般にはあまり知られておらず、頻繁な通院が負担となり実施率も低い。自宅でリハビリを受けられるよう、遠隔心臓リハビリシステムの開発を目指している、大阪大学国際医工情報センターの谷口達典医師に聞いた。
▽高齢者の通院に課題
心臓リハビリは1回当たり30~40分、週3~5回行うことが推奨されている。しかし、高齢の患者が多いことから、退院後の頻繁な通院はハードルが高い。2019年に行われた調査では、急性心不全患者のうち退院後も心臓リハビリを行っていたのはわずか7%にとどまっていた。
通院の難しい高齢者が自宅で簡単に取り組めるよう、谷口医師が開発を進めているのが遠隔心臓リハビリシステム「リモハブシステム」。谷口医師はリハビリ用の機器を開発する会社「リモハブ」(大阪府吹田市)も創業しており、「循環器内科医として心不全の再入院を防ぐ研究を続けてきた経験を生かし、日本初の医療機器をつくりたいという思いから、事業化を決意しました」と話す。
▽有効性を検証
リモハブシステムは、医療アプリ、エクササイズバイク、体に装着できる心電計から成る。バイクで運動を行った患者の血圧、心拍、心電図の波形といったデータが医療機関に送られる仕組みだ。これにより、患者は在宅のまま医師や理学療法士などによる診療をリアルタイムで受けられ、運動や食生活についての助言をもらえる。
現在、大阪大学医学部循環器内科と共同で有効性と安全性を検証する臨床試験(治験)を行っており、今年中に結果を報告できる予定という。
新型コロナウイルス感染症の流行もあり、オンライン診療の普及を望む声は強い。谷口医師は「心不全の患者さんは高齢で持病がある場合が多く、コロナが重症化するリスクが高いと言われます。一方、外出の機会が減ると運動不足になり、心不全の再発リスクも高まります。遠隔心臓リハビリシステムは、コロナ禍で外出が難しい患者さんにもニーズがあるのではないでしょうか」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/07/02 05:00)
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