治療・予防

検査で見つかりにくい心不全―HFpEF
~循環器専門医に相談を(横浜市立みなと赤十字病院 伊藤宏院長)~

 心不全のうち、HFpEF(ヘフペフ)と呼ばれるタイプは検査では見つかりにくい上、現状では治療薬も限られる。心不全の約半数を占めることも分かり、横浜市立みなと赤十字病院(横浜市)の伊藤宏院長は「超音波検査でも見逃される可能性があります。動悸(どうき)や息切れ、むくみなどがあったら循環器専門医に相談してください」と呼び掛ける。

体がむくんで体重が増加。急に増えたら要注意

 ▽高血圧の高齢女性

 心臓の不具合で息切れやむくみが生じる心不全は、悪化すると命に関わる状態を指す。原因は心筋梗塞や心筋症などさまざまだが、加齢に伴う心臓の機能低下がリスクを上げる。

 2020年で120万人との推計データがある心不全は心臓の収縮機能が低下して起こるHFrEF(ヘフレフ)だけだと考えられていたが、最近の研究で、心臓が血液を押し出す収縮機能は保たれているが、血液を取り込む拡張機能が低下するHFpEFが半数を占めることが明らかになってきた。

 伊藤院長は「心臓の壁が硬くなり、縮むことはできても、広がることが難しくなります。風船に例えると、ゴムが硬くなり膨らませるのが大変な状態です」と説明する。

 HFrEFとほぼ同数が存在するとみられるHFpEFは、診断されずに見逃されている可能性がある。高血圧の高齢女性に多いため、高齢化が進むにつれさらに増えていくことが予想される。

 ▽週2キロ増が危険信号

 自覚症状は二つのタイプで違いはなく、坂道や階段での息切れ、手足が冷たい感じ、全身倦怠(けんたい)感、むくみ、夜間の呼吸困難やせきなど。尿量や回数は日中に減るが、夜間に増加する。「心臓に戻る血液が少ないため、うっ血から体がむくみ、体重が増えます。1週間に2キロ程度増えたら要注意です」

 治療法は確立されておらず、ガイドラインに記載されている治療薬は利尿薬のみ。しかし、最近になって糖尿病の治療で使うSGLT2阻害薬が有効であることが明らかになり、新たな治療薬として期待されている。

 伊藤院長は「自覚症状があり医療機関を受診しても、専門医でなければ見逃される可能性があります。予後が悪いので、治療せずに放置すれば死に至ることもあります。特に高血圧があれば早めに循環器の専門医を受診して、心臓超音波検査を受けることをお勧めします」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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