治療・予防

心臓病に「リハビリ」が効果
運動療法など包括的に指導

 心不全患者に対して、運動をはじめ、食事、精神面などで指導を行い、心機能の回復や再発予防を目指す「心臓リハビリテーション」が注目されている。高齢化により、増加する心不全患者は入退院を繰り返しやすく、その対策が喫緊の課題であるためだ。長年、心臓リハビリの研究と指導に取り組んでいる榊原記念病院顧問で欅(けやき)坂上医科歯科クリニック(東京都港区)の伊東春樹医師(循環器内科)は「心リハを続けると心不全の再発を防ぎ、死亡率が下がることが分かっています」と話す。

心臓リハビリテーションで期待される効果

 ▽運動能力が寿命を左右

 心臓リハビリは運動、塩分やアルコールの摂取、喫煙、服薬、ストレスなどに関し、総合的に改善指導を行うのが特徴だ。「心リハは運動療法が柱となります。心不全患者の寿命を左右するのは、心臓の機能ではなく、運動能力だからです」と伊東医師。

 心不全は安静が必要な疾患とのイメージがあるが、運動不足が長期間続くと、心筋梗塞や狭心症の原因となる動脈硬化が促進され、筋肉の質は悪化して、体力が落ちる。

 この悪循環を断ち切るのが心臓リハビリの目的だ。特に運動によって、血液の循環や運動能力が改善し、生活の質が向上するだけでなく寿命が延びるという。

 ▽医師の許可と指導が必須

 運動療法では、ウオーキングなどのリズミカルで持続的な有酸素運動を主体に、筋力トレーニングを組み合わせる。運動の種類、強さ、時間、頻度といったメニューは、実際に医師の前で運動をして、吸い込む酸素量と吐き出す二酸化炭素量の割合などを測定する「心肺運動負荷試験」で決める。「安静が必要な場合もあるので、心不全患者の運動には専門医の許可と指示(運動処方箋)が必須です」と伊東医師は強調する。

 心臓リハビリを実施している医療機関は、日本心臓リハビリテーション学会のウェブサイトに掲載されている。心臓リハビリは、開始から5カ月間は健康保険が適用される。それ以降は、自宅や地域のスポーツセンターで実施したり、民間のスポーツ施設などを利用したりする方法などがあるが、心臓リハビリテーション指導士や健康運動指導士の資格を持つトレーナーがいるところが望ましい。

 「生活のリズムの中に運動を取り入れ、長く続けましょう」と伊東医師。「並行して、禁煙を継続し、風邪などの感染症、過剰な塩分摂取、薬の飲み忘れ、ストレスの蓄積には注意しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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