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動脈硬化を抑える働きがあるとされるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)。体内ではほとんど作ることができず、食べ物から摂取する必要がある必須脂肪酸だ。サンマ、サバなどの青魚に豊富に含まれる。最近、EPA、DHAの影響を脳血管障害の病型(病気を原因や病状などの違いで分類)別に検討した、滋賀医科大学NCD疫学研究センター(滋賀県大津市)予防医学部門の近藤慶子助教に話を聞いた。
脳動脈狭窄
◇脳血管障害の病型別に検討
EPAやDHAを多く摂取する人は、動脈硬化による心筋梗塞などの心臓病にかかりにくいことが研究で明らかにされている。脳血管障害(脳卒中)との関連でも研究が行われているが、EPA、DHAと脳血管障害との関連がはっきり分かっていない。
その理由について、「脳血管障害といっても脳梗塞、脳出血など、さまざまな病型があり、起こりやすい部位や血管が異なるためではないか」と近藤助教は推測する。
◇脳動脈狭窄と関連
今回、近藤助教らの研究グループは、40~79歳の地域住民の男性739人を対象に、まず2006~08年に血液検査を行い、食事からのEPA、DHA摂取量を反映する血中濃度を測定した。
さらに、血液検査から平均約5年後の12~15年に頭部MRI(磁気共鳴画像装置)検査を実施。〔1〕動脈硬化により脳の太い血管で起こる脳梗塞の前病変である脳動脈狭窄(きょうさく)〔2〕脳の細い血管で起こる小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)〔3〕脳の細い血管に起こる脳出血などの前兆とされる微小出血〔4〕認知機能障害の前兆とされる白質病変―の有無を調べた。
EPA、DHAの血中濃度が、〔1〕~〔4〕のどの脳血管障害の発症リスクと関連するかを検討した結果、脳動脈狭窄と関連することが分かった。例えば、EPAとDHAの合計した血中濃度が増えると、軽度以上の脳動脈狭窄のリスクが低くなった。ラクナ梗塞、微小出血、白質病変のリスクとの関連はなかった。
この結果から、近藤助教は「EPA、DHAは脳内の大血管病変に有益に作用する可能性があり、その摂取は脳梗塞の予防につながる可能性があります」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/11/23 05:00)
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