治療・予防

薬としても使われるEPA
脂質異常症の治療に

 イコサペント酸(EPA)には血液中の中性脂肪を減らす作用があり、サプリメントで取る人は少なくない。しかし、健康診断などで中性脂肪が高いと指摘されたら、薬として治療に用いられることがある。神戸大学大学院医学研究科(神戸市)内科学講座立証検査医学分野の杜隆嗣特命准教授に聞いた。

血液検査の結果から3タイプに分類

 ▽血液検査で3分類

 コレステロールや中性脂肪が高い状態は長らく高脂血症と呼ばれてきたが、コレステロールには悪玉(LDL―C)と善玉(HDL―C)があり、善玉はむしろ低いほうが動脈硬化のリスクとなるため、最近は脂質異常症と呼ばれている。

 脂質異常症は脂肪の取り過ぎや過食といった食生活、運動不足などの生活習慣の乱れが原因となって起こる。また、家族性高コレステロール血症に代表される遺伝性疾患の場合や、甲状腺機能低下症やステロイドの内服などが原因で起こる場合もある。脂質異常症では血管に余分なコレステロールがたまって動脈硬化が起こり、狭心症や心筋梗塞などの心臓病や脳梗塞の発症リスクが高まる。

 診断は血液検査の結果に基づき、〔1〕高LDLコレステロール血症〔2〕低HDLコレステロール血症〔3〕高中性脂肪血症―に分類される。

 治療では原因となる生活習慣の改善を行い、必要に応じてスタチンという血中のLDL―C値を下げる薬を服用する。「ただし、LDL―C値を下げるだけでは不十分なケースがあります。過去に狭心症や心筋梗塞を発症した人は再発予防が必要です。そうした場合にEPA製剤の使用を考慮します」と杜特命准教授は説明する。

 ▽青魚に豊富なEPA

 EPAはイワシやアジ、サンマなどの青魚の油に多く含まれる成分で、中性脂肪を低下させる作用がある。EPA製剤は魚油由来のEPAを高純度に精製した脂質異常症の治療薬で、血中の中性脂肪値を下げるほか、血液が固まりやすくなるのを防ぐ作用もある。また、血管の炎症を抑えて、動脈硬化の進行や心臓病、脳卒中などの発症予防に効果を発揮する。

 日本人を対象とした研究では、従来の悪玉コレステロールを減らすスタチン薬にEPA製剤を併用することで、心筋梗塞や狭心症などの発症が19%減少。また、心筋梗塞を発症し、狭くなった血管にカテーテルという細い管を入れて治療した経験のある人では、再発が41%低下したことも明らかになっている。

 杜特命准教授は「EPAを多く含む青魚を積極的に食べると、血管を若々しく保つことができます。健康診断でコレステロールや中性脂肪が高いと指摘されても、症状が無いため放置しがちですが、動脈硬化は着実に進みますので、ぜひ近くの医療機関に相談してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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