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過敏性腸症候群(IBS)の中でも、ガスが多く、腹部膨満感が強いといった症状があるケースを「ガス型IBS」と呼んでいる。おおこうち内科クリニック(愛知県稲沢市)の大河内昌弘院長は「原因はいくつかありますが、体に良いといわれている食品が、実は症状を悪化させる要因になっていることがあります」と話す。
ガス型IBSの症状
◇小腸でガスがたまる
IBSには便秘型、下痢型、混合型の三つがあるが、ガス型IBSはこれに加えて臭いがきついガスが頻繁に出る、おなかが張って苦しいなどの症状がある。
原因は、ストレス、食生活、薬の三つが考えられる。「脳腸相関という言葉がある通り、脳と腸は互いに密接な関係にあります。例えば、ストレスは腸の動きや腸内細菌のバランスに大きく影響します。ガス型IBSは20~40歳代くらいの働き盛りの年代に多く、真面目で神経質な人に目立ちます」と大河内院長は話す。
食生活では、納豆やヨーグルトなどの発酵食品の取り過ぎが挙げられる。「本来なら大腸でガスがたまるのが、小腸でガスが発生してしまうため、肛門までの距離が長く膨満感の原因になります」
さらに、胃液の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬を長期間服用している場合、胃内の殺菌作用が弱まり、小腸でガスが発生しやすくなる。抗生物質やステロイド薬も、腸内細菌のバランスを崩す原因になる。大河内院長は、小麦粉の成分などが腸の粘膜を傷つけるリーキーガット症候群を併発している患者も一定数いるのではないかとみている。
◇食生活を見直す
ガス型IBSは、胃腸内科や消化器内科を受診し、他の病気がないことを確認した上で診断される。最初に、腹部のレントゲン検査で腸内のガスの状態を調べ、血液検査や大腸内視鏡検査で、炎症性の疾患やがんの有無も調べる。
治療は食事療法から始める。同院では、患者に食生活を問診し、食事写真も見せてもらい、管理栄養士が食事指導を行う。「当院では、発酵食品や、肉、牛乳などの動物性タンパク質は極力控え、果物や海藻、オクラなどの水溶性食物繊維を意識して摂取してもらっています。また、3食バランスよく食べ、十分な睡眠を取り、ガスが出やすくなるよう軽い運動を行うことも必要です」
食事療法だけで効果が出ない場合は、ガスをたまりにくくする薬や整腸剤、便秘を改善する薬などを併用する。
大河内院長は「食事が病気をつくり出すことがあります。具合が悪いときこそ、食事内容に目を向けてください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/12/03 05:00)
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