治療・予防

下痢、便秘に襲われる過敏性腸症候群
~学業や仕事に悪影響~

 一日に何度も激しい腹痛や下痢、便秘に襲われるが、検査をしても炎症やポリープなどの異常は見つからない-。そんな症状が続くのが過敏性腸症候群(IBS)だ。ストレスが大きく影響することが知られ、10~20代で発症することが多いため、学業や仕事に大きな悪影響が出てしまう。進学や就職などで生活環境が大きく変わる新年度前後は発症や症状の悪化が多発する時期で、専門医は「おかしいと思ったら、専門医の診察を受けてほしい」と呼び掛けている。

4月1日、千葉市美浜区の幕張メッセで行われた企業の入社式

 ◇三つのタイプ

 「IBSは下痢を繰り返すタイプ(下痢型)、便秘を繰り返すタイプ(便秘型)、便秘と下痢を交互に繰り返すタイプ(混合型)に大別されます。一般に下痢型は男性に、便秘型、混合型は女性に多いとされています」

  IBSなどの消化器疾患に詳しい都内で開業している元東京慈恵会医科大学助教授の鳥居明医師(消化器内科)はこう説明する。従来の治療は、下痢止めや腸内の水分分泌を促して便通を促進する薬などを使った対症療法が中心だった。

IBSと神経の関係

 原因については、ストレスの増加やそれに伴う自律神経の乱れと言われてきた。このためカウンセリングや認知行動療法が行われてきたが、十分な効果は挙げられてこなかった。

 症状が進んでも死亡することはないが、強い腹痛自体が生活の質(QOL)を大きく損なう。回数が多い下痢や腹痛は学業や仕事を続けることを難しくしたり、電車などでの移動に支障を来すなど、この病気が社会生活に与える悪影響は非常に大きい。「患者はもちろん、消化器内科の専門医の中でも認識が共有されず、十分な治療が行われなかったのが実情でしょう」と鳥居医師は、問題点を指摘する。

 ◇生活の質変える薬

 近年の研究でストレスにより腸内のセロトニンという神経伝達物質が過剰に分泌され、腸の活動を過敏化させてしまうことが分かってきた。特に下痢を引き起こすタイプの患者はこの傾向が強く、セロトニンをブロックする薬を服用することで、症状を大きく改善することができるようになった。

 「まさに〝ライフチェンジングドラッグ〟すなわち生活の質を変える薬と言える効果で、服用し続けている限り、日常生活を支障なく送れるようになりました。ここ数年で普及した治療薬なので、他の薬で効果が十分でなく、一度治療を中断した患者も、ぜひ治療を再開してもらいたい」と鳥居医師は呼び掛ける。

 鳥居医師は「治療薬は一日1回の内服薬で、副作用も便秘の誘発程度。これも投与量を細かく調整することで対応できますが、治療の継続が必要となります」と話す。

 ◇HPで医療機関をチェック

 もう一つ、現在16歳以上への処方と定められているので、それ以下の小児期の患者にはなかなか投与できないという問題がある。実際にIBSに悩まされている、またはIBSではないかと疑った場合、どうすればよいのか。

 鳥居医師は「消化器内科の専門医でも、必ずしもIBSに精通しているとは限りません。医療機関の中には、ホームページ(HP)などでIBS診療を掲げている施設が増えてきました。インターネットで地域の医療機関とIBSをキーワードに検索すると、ある程度見つかります」と話す。(喜多壮太郎)

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