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世界の死因で最も多いのが心筋梗塞や脳卒中などの心血管病で、その要因の一つが高血圧。早期の治療開始と継続が心血管病発症予防のポイントとなるが、治療を中断してしまう人も少なくない。国際医療福祉大学医学部(千葉県成田市)の下沢達雄主任教授(臨床検査医学)に話を聞いた。
減塩のこつ
◇降圧目標未達が多い
高血圧や脂質代謝異常、糖尿病、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病(CKD)の数値をコントロールすることは予後の改善につながるとされる。「中でも、脳・心血管病の死亡数に最も関係するのが高血圧です」
高血圧は診断・治療法ともに進歩し、適切な食事管理や運動、薬物治療の継続により、多くの高血圧患者で降圧目標(収縮期血圧が130mmHg未満かつ拡張期血圧が80mmHg未満)の達成が可能となっている。
高血圧患者は約4300万人に上る。このうち、治療を受けていなかったり、治療中でも降圧目標を達成していなかったりする例は多い。
国内の研究報告によると、降圧薬服用患者の目標達成率は21.3%にとどまる。その要因としては「高BMI(体格指数)値、塩分過多が挙げられます」。
血圧コントロールができないもう一つの要因として、不十分な薬物療法もある。「高血圧治療では、減塩中心の食事や運動と並行して適切な薬物療法も重要」
◇若い時から減塩を
減塩について下沢教授は、「血圧が高いと塩分を欲するとの動物実験のデータもあります」と指摘。日本人は食塩摂取量が多く、日本高血圧学会などを中心に減塩の重要性を啓発しているが、食塩摂取量の平均は10グラム以上で、学会推奨の6グラム未満と大きな差がある。
また高血圧には、塩分の影響を受けやすい食塩感受性高血圧と、受けにくい食塩非感受性高血圧がある。日本人は遺伝的に食塩感受性高血圧が多いという。「将来の高血圧を防ぐには、若いうちから肥満に注意し、食塩の量を減らすことが重要です。また、高血圧と診断された人は治療の継続が将来の心血管病リスクの抑制につながります」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/02/22 05:00)
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