治療・予防

就寝中に上昇―夜間高血圧
脳卒中による死亡のリスク(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 浅山敬准教授)

 診察室の血圧が正常でも、就寝中に高くなる夜間高血圧は、脳卒中などの脳心血管病で死亡するリスクが高い。帝京大学(東京都板橋区)医学部衛生学公衆衛生学講座の浅山敬准教授は「さまざまな原因があり、自分で気付かないまま脳心血管病のリスクが高まってしまいます。家庭での血圧が高い場合は早めに医療機関を受診し、血圧をコントロールすることが大切です」と話す。

まずは起床後と就寝前の家庭血圧を把握することが大事

まずは起床後と就寝前の家庭血圧を把握することが大事

 ▽夜間120/70以上

 血圧は常に変動するので、健康診断や診察室では正常範囲でも、安心とは言えない。診察室では把握できない高血圧を仮面高血圧と呼び、特に夜の時間帯に血圧が上昇する場合を夜間高血圧と言う。

 その定義は家庭血圧計や医療機関が貸し出す24時間自由行動下血圧計(ABPM)で測定した夜間の平均血圧値が120/70mmHg以上とされる。健康な人の血圧は就寝後に低下し、起床に向けて上昇するが、夜間高血圧の人は、就寝中の血圧が下がらず、反対に上昇することさえある。

 「夜眠っている間は副交感神経が優位になるため、血圧は日中より10~20%低くなるのが普通ですが、逆に高くなる夜間高血圧は、喫煙や過度のアルコール摂取、肥満、抑うつ、睡眠時無呼吸症候群、高血圧の治療がうまくいっていないなどの原因が考えられます」

 ▽家庭血圧を測定して

 家庭用血圧計が普及し、朝晩、血圧を測る習慣のある人が増えてきた。しかし、就寝中に測定するにはABPMが必要だ。装置を体に装着すると、15分~1時間おきに自動的に血圧が測定される仕組みだが、動作音や圧迫感で眠れないなどの課題も指摘されていた。そこで浅山准教授らは、家庭で気軽に夜間血圧を測定できる血圧計の開発にも携わっている。

 「脳心血管病を起こすと、命は助かっても後遺症が残り、健康寿命が短くなりかねません。それにもかかわらず、高血圧に気付いていない人、気付いていても治療していない人が多くいます」と浅山准教授。

 「思い当たる人は、まず起床後と就寝前の家庭血圧をしっかり測定しましょう。基準値(135/85mmHg)以上の場合は、早めに医療機関を受診し、きちんと血圧をコントロールすることが大切です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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