治療・予防

胃もたれ対策
~食べ過ぎの不調を解消(江田クリニック 江田証院長)~

 食べ過ぎや飲み過ぎで胃が弱ったときは、どうすればいいのだろうか。胃を回復させる食生活の工夫や対策などについて、江田クリニック(栃木市)の江田証院長に話を聞いた。

胃に良い効果が期待できる食べ物

 ◇胃をいたわる食事

 「特に正月明けは暴飲暴食で胃が荒れ、胃もたれなどの不快症状に悩む人が増えます。実は、休みで普段と異なる生活パターンとなるため、ストレスで自律神経が乱れることも不調の誘因になります」と江田院長。食生活では暴飲暴食を控え、消化の良い物を食べて胃をいたわることが第一。食材は、キャベツ、オクラ、里芋、ナメコ、海藻類、大根、鶏ささ身、青魚などで胃に良い効果が期待できる。

 一時的な症状には市販の胃薬を活用するのも一案だ。「食後の胃もたれには、ジアスターゼ、リパーゼなどの消化酵素薬やショウキョウ(ショウガ)などの生薬成分を含む健胃薬。空腹時に症状が出る、胸焼けやむかつきを伴うなら、胃粘膜の荒れが関わるため、胃酸分泌を抑制するH2ブロッカーやM1ブロッカーがいいでしょう。症状が何日も続くなら、消化器内科を受診してください」

 ◇胃の病気であることも

 胃もたれが続く場合は、慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの病気も考えられるが、実際には、内視鏡検査をしても、特に目に見える病変が見つからないケースの方が圧倒的に多い。通常の検査で病変が見られないのに不快な症状が続く状態を「機能性ディスペプシア」と呼ぶ。

 胃には本来、食べ物を一定時間ためて消化した後、十二指腸へ送り出す働きがある。ところが、何らかの理由で胃の上部がうまく膨らまなくなり、食べた物をためることができず、十分に消化される前に十二指腸に送り出されてしまう。同時に十二指腸から胃に逆流する運動も生じ、食べ物が長くとどまり過ぎる。

 こうした胃の運動機能障害に加え、胃や十二指腸が知覚過敏になり、胃酸や胃の中の脂肪などの刺激に反応して症状を引き起こすとされている。

 治療には、消化管の運動を促す薬や胃酸を抑制する薬、胃が膨らむ働きを改善する漢方薬、六君子湯(りっくんしとう)などが用いられる。「食事運動、睡眠などの生活習慣改善やストレス対策も重要です。この時期は、ぬるめのお湯に長めに入浴することをお勧めしています」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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