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最も危険な感染症の一つとされるマールブルグ病の感染者が2月、アフリカ中西部の赤道ギニアで発生した。世界保健機関(WHO)によると、同月13日現在、9人が死亡、16人で発症の疑いが出ている。北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所(札幌市)の高田礼人教授に話を聞いた。
マールブルグ病の感染状況
◇粘膜や皮下に出血
「マールブルグ病は、エボラ出血熱と同じフィロウイルス科のマールブルグウイルスを病原体とするウイルス性出血熱です」。このウイルスはエジプトルーセットオオコウモリと呼ばれるコウモリの一種が持っており、サルなどもかかる人獣共通感染症病原体だ。
1967年、アフリカのウガンダから研究用に輸入されたサルを取り扱った旧西ドイツのマールブルグ大の研究者らが感染。その後は散発的に、ケニア、コンゴ、アンゴラ、ウガンダなどのアフリカ諸国で感染者、死者が報告されている。
コウモリから直接感染する以外にも、ヒト―ヒト間で血液などの体液、排せつ物、汚染された医療器具などを介して感染する。3~10日たつと、「高熱、頭痛などが表れます。その後、下痢や鼻、口、消化器などの粘膜からの出血、皮膚の点状出血などが見られます。さらに悪化すると、全身の臓器に感染が広がり、死亡する危険性が高くなります」。
致死率は、ウイルスの種類や発生国により25~90%と幅があるが、平均で約50%以上と極めて高いという。日本でも、重症度の最も高い1類感染症に位置付けられている。
◇治療薬、ワクチンはない
マールブルグ病が今後、日本に広がる可能性については、「流行はアフリカの一部の国に限定されており、新型コロナウイルス感染症のように伝播(でんぱ)力が高くないため、現時点で日本に持ち込まれる可能性は低いと思われます。ただ、現地からの入国者、帰国者への検疫は重要です」。
有効なワクチンや治療薬はまだないため、予防が重要になる。「発生地域に行った場合、現地の人と必要以上の接触をしない、野生動物に触れない、食べないなどの注意が必要です」。さらに「マールブルグ病を含む人獣共通感染症には、医学、獣医学のみならず、地球環境の保全も含めた包括的な対策が必要です」と高田教授は強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/16 05:00)
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