治療・予防

肉離れの微弱電流刺激療法
~早期回復に期待(聖マリアンナ医科大学 藤谷博人主任教授)~

 肉離れは、スポーツ選手に多いけがの一つ。完治するまでに時間がかかるため、無理をして再発するケースも少なくないようだ。そんな中、感じない程度の微弱電流を患部に当てることで、より早期の治癒を目指す微弱電流刺激療法が試みられている。スポーツ選手の外傷治療に詳しい、聖マリアンナ医科大学(川崎市)スポーツ医学講座の藤谷博人主任教授に話を聞いた。

微弱電流刺激療法

 ◇マイクロカレント

 肉離れは、急なダッシュやジャンプなどをきっかけに、筋肉が急激に引き伸ばされ筋線維が断裂して起こる。特に脚に起こりやすく、患部は炎症や内出血で腫れ、激しい痛みを感じる。肉離れの治療は消炎鎮痛剤などによる対症療法と、安静、リハビリが一般的だ。

 アメリカンフットボール日本代表のチームドクターを務める藤谷主任教授は、肉離れで試合から離脱した選手が焦りを感じ、治り切っていない状態で復帰して再発を起こすケースを多く見てきた。「肉離れ自体は単純なけがですが、中程度でも治癒まで2~3カ月かかることがあります」

 2007年に国内で開催されたアメフットのワールドカップで、試合中に捻挫を起こした選手の患部にトレーナーが微弱電流(マイクロカレント)を当てたところ、痛みが早く回復したとの報告があった。マイクロカレントの効果や安全性は検証途上だが、腱(けん)や靱帯(じんたい)などの外傷に効果があるという研究論文もある。

 藤谷主任教授はまだ報告のない骨格筋に対するマイクロカレントの効果をマウスで検証。動物実験であり、人間では異なる可能性はあるものの、損傷した骨格筋の再生を促進することを突き止めた。

 ◇医師指導下で使用を

 「私たちの体には、けがをすると損傷電流という微弱電流を流し、傷ついた組織を修復する働きがあることが分かっています。マイクロカレントは、ほとんど体に感じない10~200マイクロアンペアの電気刺激で除痛と組織修復を目指す方法です。肉離れなどの他に、創傷や褥瘡(じょくそう)や皮膚潰瘍などにも有効な可能性があります」

 長く当てるほど効果が期待でき、従来の治療法で2~3カ月かかっていた肉離れが1~2カ月で回復するケースも報告されているという。

 マイクロカレントはスポーツ整形外科などを中心に少しずつ広がっている。「微弱電流の健康器具も市販されていますが、スポーツ整形外科などを受診し、医師の指導の下で使用することが望ましいです」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】

新着トピックス