2024/12/18 05:00
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新年度入りなどで環境が変わってから数カ月というこの季節は、不調を訴える方が多くなります。適応障害、いわゆる5月病や6月病が起こりやすい時期ですが、いざ受診しようと思うと、どこを受診していいか分からないという声も聞きます。受診の目安などについてお話しします。
◇心のサインに注意
まず受診の目安になる心のサインについて気が付いてください。心は目に見えませんが、さまざまなサインを出しています。そのサインが体の症状や表情、行動に反映されます。以下のような場合は心の疲労を表しています。
気分のサイン:イライラ、怒りっぽくなる、孤独感、自分はいない方がいい・自分は価値がないという思いが浮かぶ、何をしても気持ちが晴れない、うつ気分
体のサイン:眠りの質が低下(早朝覚醒、入眠障害など)、食欲低下または過食、体重が減少または増加、長引く下痢、頻尿、耳鳴り、頭痛、生理不順、体の痛み、発熱、肩凝りなど
行動のサイン:買い物依存、酒量が増える、物事を決められない、朝起きられない、時間に遅れるなど
表情のサイン:顔の筋肉がこわばる、笑いがない
こうした症状は誰でも一時的に出ることはありますが、気分が低下し2週間以上継続した場合はうつ状態の可能性が高いと言えますので受診が必要です。
◇気分をチェックする6項目
それでは気分の状態により心の疲労度を把握するポイントをご紹介します。次の六つの項目について最近1カ月で思い当たる頻度をチェックしてください。
1.神経過敏(ささいなことでびくびくしたりする)に感じたか
2.絶望的だ(もう終わりだというような気分)と感じたか
3.そわそわしたか(落ち着かない感じ)
4.気分が落ち込み、何が起こっても気が晴れないように感じたか
5.何をするのも面倒で、おっくう、やりたくないと感じたか
6.自分は価値がない人間だと感じたか
全くそういうことがない場合は0点、少しだけある場合は1点、時々ある場合は2点、たいていある場合は3点、いつもそうだという場合は4点として足し合わせてください。
合計が5点以下なら元気、6~9点は疲労気味、10点以上は心のエネルギー不足でうつ傾向が疑われます。6~9点の方は、特に環境が変わって3カ月以内の場合はストレスが大きいということを自覚し、仕事の後などにストレッチしたり体を動かしたり深呼吸したりするなど、心の疲労をため込まないための対策を行ってください。また、10点以上で先に述べた体や行動のサインなどがある方は受診をお勧めします。
◇体と心の症状で判断
心療内科は「内科」がベースです。体に症状が出るものの、その要因として心理的な背景が多いときの診療科です。下痢を例に取ると、腸そのものには器質的な疾患がなく、ストレスに起因する自律神経の不調による場合などです。環境の変化によるストレスで適応障害が起きたような場合、多くは心療内科で体の症状も含めて治療を行います。ですから、体に症状が出て「最近ストレスが続いていたな」と思われるようなときは心療内科を受診する方がいいと思います。
精神科はうつ病や統合失調症など、より「心」の症状を主体にした診療科です。双極性障害の場合も精神科の受診がいいでしょう。
ただ、睡眠の変化、うつ気分、食欲低下という三つの症状があり、それが2週間ほど続いている場合は心療内科、精神科どちらでもいいのでまずは受診してください。
最近は受診しようとしても予約が取れなかったり、予約が数カ月先になると言われたりして困っている方もいます。そのような場合、かかりつけ医がいればその医師にまず相談し、緊急の対処をしてもらうといいでしょう。かかりつけ医は緊急性を踏まえて紹介先などを探してくれると思います。
晴れた日には散歩やストレッチでストレス予防も
◇治療内容や頻度は?
受診すると、初診時はおよそ15~30分くらいの問診などがあり、症状に合わせて休養が必要かどうかの判断や薬の処方などが行われます。2回目以降は診療時間が短く、処方箋をもらうだけになります。このため「もっとゆっくり話を聞いてほしいのに」という声も多く聞きます。
確かに安心して自分の気持ちを話すことは重要ですし、考え方の癖などを見つけ、それを直していくことが今後のストレス対処に役立つはずです。子どもの頃からの考え方の癖などが現在の症状に影響しているような場合は特に、「もっと話を聞いてほしい」という気持ちが起きると思います。ただ、現在の保険医療では難しい場合が多いので、不満が残るものです。そんな時は「ゆっくり話を聞いてほしい」「認知行動療法などで考え方の癖の修正などもしてみたいので、臨床心理士や公認心理師のカウンセリングを受けたい」と医師に伝えてください。臨床心理士がいる精神科のクリニックもありますし、連携して診療を行っている臨床心理士がいるクリニックも多いので、医師から紹介してもらうのがいいと思います。
臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングは保険診療の対象にならず自費治療なので、1回60分で8千~1万5千円ほどかかります。ただ、心理学講座を持つ大学院では指導教員と共に臨床心理士を目指す大学院生がカウンセリングを行っている施設もあり、費用はやや低額の場合もあります。(了)
(2023/05/18 05:00)
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