2024/12/04 05:00
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厚生労働省がまとめた「高齢者のための熱中症対策リーフレット」に、重要な記載があります。
東京都23区内の熱中症死亡者の約8割は高齢者で、屋内での死亡者のうち約9割はエアコンを使用していなかった、というものです。
「エアコンは健康に悪い」などの誤った思い込みが染み付いて、十分な熱中症対策ができていない高齢者は少なくありません。
しかし、高齢者は若い頃と比べ、熱中症リスクがはるかに高くなります。
高齢者の熱中症、「症状が出た時にはもう遅い」くらいの危機意識が本人にも家族にも重要です【時事通信社】
なぜでしょうか?
それには医学的な理由があります。
◆高齢者の特性
厚生労働省のリーフレットには、「高齢者は特に注意が必要です」として、その理由を3点、挙げています。
一つ目は、「体内の水分が不足しがちであること」です。
高齢者は若い人より体の水分量が少なく、水分不足に対して余力がありません。
その上、糖尿病などの持病の影響や、利尿薬などの内服薬の副作用で尿が多くなりやすく、脱水のリスクが高い傾向にあります。
二つ目は、「暑さに対する感覚機能が低下していること」です。
若い頃であれば、喉の渇きによって「水分を摂取しよう」と思えますが、高齢者はこの反応が衰えています。
高齢者の体は、危険信号を発するのが若い人よりずいぶん遅いのです。
◆いきなり倒れる
そして三つ目は、「暑さに対する体の調節機能が低下していること」です。
暑い環境にいるとき、私たちの体は本来、多量の汗をかいたり、血管を拡張させて熱を放散しやすくしたりして、体温が上がらないよう調節します。
ところが、こうした機能が加齢によって衰えると、体に熱がたまりやすくなります。
以上のような特性から、高齢者は熱中症になりやすく、かつ、熱中症の危機に陥っても気づきにくい、ということが分かります。
結果的に、高齢者は「いきなり倒れる」のです。
「しんどいときは無理しないで」「つらい症状があればすぐに対策して」では全くもって間に合いません。
本人にも家族にも、「症状が出た時にはもう遅い」くらいの危機感が必要でしょう。
◆推奨される対策
熱中症対策として、厚生労働省のリーフレットでは、「エアコンを上手に使うこと」と「喉が渇いていなくても、こまめに水分・塩分を補給すること」の2点が強調されています。
エアコンの使用時は、扇風機や換気扇を併用し、時々窓とドアを開けて換気をすることも大切です。
水分については、1時間ごとにコップ1杯を心がけるのがよいでしょう。
猛暑が続く中、全国的に熱中症で病院に搬送される事例が相次いでいます。
早めの対策を行い、自分と家族の身を守りましょう。
(2023/08/02 05:00)
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