2024/12/18 05:00
冬の気分低下どう乗り切る?
~少し速足で歩くと気分前向きに~
企業で行われる健康診断の結果を見ると、最近は若い年代の方のBMI(肥満度を示す指数)やコレステロール、中性脂肪の値が高く、受診を進める機会が増えています。この数年は新型コロナウイルス禍で外出が減ったりリモート作業が増えたりしたためか、特にIT関係の企業で生活習慣病予備軍と思われる若い方が増えている感じがします。
高血圧や高脂血症、糖尿病などは自覚症状がないことが多く、糖尿病では46%、高血圧では33%が健診で初めて見つかっています。まだ若いからと安心している方も多いと思いますが、今後が気になります。
毎年2月は生活習慣病予防月間です。この機会にご自分の健診結果をご覧になり、昨年の数値と比較して変化がないかどうか点検してはいかがでしょうか。
日本生活習慣病予防協会のHPより
◇喫煙しない
日本生活習慣病予防協会は、生活習慣病の予防策として「一無、二少、三多」を提唱しています。「一無」とはたばこを吸わないことです。最近は企業がオフィス全体で禁煙に取り組んでいる傾向が見られますが、一方では依然としてたばこをストレス解消の道具にしたり、喫煙所での会話をコミュニケーションだと豪語したりする男性もいます。愛煙家の上司の影響で自分も喫煙し始めたという若い社員の話を聞くと、まだ昭和時代の意識が残る中小企業も存在していることが分かります。
◇飲酒を抑制、厚労省がガイドライン
「二少」は「少食」と「少酒」です。生活習慣病のリスクを高めるお酒の量は、純アルコール摂取量で男性が40g以上、女性は20g以上とされています。純アルコールの量はアルコール度数と、飲む酒の量、アルコール比重の0.8の三つを掛け合わせると計算できます。
ちなみにアルコール度数5%のビールの場合、500ミリリットル缶のアルコール量は20グラム(500×0.05×0.8)。アルコール度数12%のワインでグラス2杯200ミリリットルの場合は19.2gグラム(200×0.12×0.8)です。ご自分がよく飲むお酒のアルコール度数を調べ、適量を知っておくのが大事かと思います。
厚生労働省は19日、飲酒に関する初のガイドラインを正式決定しました。そのガイドラインでは、少しの飲酒でも男女共に高血圧のリスクが高くなるほか、女性の場合は出血性脳卒中、男性の場合は胃がん、食道がんのリスクも上昇するなどとされています。また、最近増えている大腸がんは男女共に週に150g以上の飲酒でリスクが高まるそうです。ご自分の飲酒の習慣をチェックしてみる必要があると思います。
◇飲まないライフスタイルに共感も
2019年の厚労省の発表によると、男性の14.9%、女性の9.1%はリスクを高める量を飲んでおり、特に女性は飲酒量の多い人の割合が増加しています。一方、最近はアルコール度数が低いビールなども発売されており、若い人たちの間で酔わないことが「クール」とされる傾向も見られるようになりました。
3.5%の低アルコール濃度のビールだと350ミリリットル缶で9.8グラムのアルコール量ですから、こうしたビールを楽しむのも一つの方法です。加えて、ノンアルコールビールや脱アルコールビールもたくさんの種類が店頭に並ぶようになりました。添加物を使わない、ミネラルを含んだ低カロリーのドイツ産の脱アルコールビールなども登場しています。
「ソバ―キュリアス」といって、お酒は飲めるけれどあえて酔わない、飲まないライフスタイルも注目されています。全く飲まないのではなく少ししか飲まないという場合も含め、飲酒に伴うデメリットを避けて生きたいという意識から生まれた習慣のようです。生活習慣病を予防して健康寿命を延ばす、健康的に年を重ねるということを目指した習慣づくりと言えるでしょう。
◇体を動かし人と交わる
「三多」はたくさん動き、たくさん人との接点を持つということです。
運動に関しては、歩行と同じくらいの強度の運動を毎日60分以上するのに加え、週60分以上の汗をかく程度の運動が生活習慣病の予防に必要とされています。65歳以上では、毎日40分以上、体を動かすことが求められます。「これはかなりハードルが高いな」と感じた方も多いのではないでしょうか。
仕事で疲れ切っていると運動する元気がなくなります。そんな場合は昼休みにエレベーターではなく階段を使ったり、買い物のときに早足・大股で歩いたり、仕事の合間にストレッチをするなどまめに体を動かしたりする習慣を付けてはいかがでしょう。
最後に一つ。日本生活習慣病予防協会は毎年「一無、二少、三多」に関するスローガン川柳を募集していて、今年度のテーマである「少食」の最優秀作は、
「人生と 食はゆっくり 噛みしめて」(愛知県・74歳・かる吉)
に決まりました。
若い世代は生活習慣病に関心が向きにくいものですが、きれいで生き生きと年を重ねるために自身の生活習慣について点検してほしいと思います。(了)
(2024/02/22 05:00)
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