量、質、時間を見直す
~糖尿病でも楽しく食事(京都医療センター 坂根直樹室長)~
糖尿病治療は食事療法と運動を基本とし、必要に応じて薬物療法が用いられる。食事療法は厳密なカロリー計算や糖質制限など「食べたい物が食べられない」といったイメージが強いが、糖尿病があってもなくても、食の基本はバランスの良い健康的な食事だ。
京都医療センター(京都市伏見区)予防医学研究室の坂根直樹室長は「大事なのは糖尿病の状態を把握し、減量や血糖改善など治療目的に応じた食事を長く続けることです」と話す。
ポーションコントロールの盛り付け例
◇まずは1週間
坂根室長は糖尿病を駅に例える。進行度によって「正常駅」「予備軍駅」「糖尿病駅」「合併症駅」に分けられる。病気の進行によって起こる失明や腎機能の低下などの合併症を防ぐためには、予備軍駅のうちの減量や血糖改善が肝心だ。「糖尿病駅に着くのを予防する減量では、内臓脂肪を減らすことが特に重要です。食事の量、質、時間を見直せば、食べても内臓脂肪を楽に落としやすくなります」
1日の食事量は運動量に合わせて取り、食べ過ぎたら運動を取り入れる。夕食は午後8時までに済ませるのが理想的だが、難しければ途中で軽めの夕食を取る「分食」もお勧めだ。
基本は和食で、脂質を減らして良質なたんぱく質を増やし、ご飯やパン、麺類などの糖質は、野菜などの食物繊維と一緒に取る。脂質を取る場合は、アマニ油などオメガ3脂肪酸の多いものに変更を。「糖質と脂質を緩やかに制限する食事療法を、まずは1週間を目標に続けることが大事です」
◇1皿盛りで適量把握
食べ過ぎ防止には、皿を活用した「ポーションコントロール」が簡単だ。例えば、1皿の約半分に野菜を盛り、残りの半分ずつに白飯、肉や魚といった主菜を載せれば、栄養バランスが良く満足度の高い食事が取れる。「継続すれば健康的な食べ方が身に付き、減量や血糖改善も期待できます」
糖質にはお菓子も含まれる。「ご飯の量は減らせても、食後のアイスクリームがやめられない人は、何回かに分けて食べるようにしましょう」
減塩も食欲のコントロールに有効だ。それでもつい食べてしまう人は、自己管理支援アプリを用いて食べた量などを可視化すると、やる気が出て継続しやすい。食事中はテレビやスマホは見ず、食べる行為に集中するのも大切だ。
「食事療法は糖尿病薬の効果を高め、副作用を出にくくするとされます。自分に合う方法を見つけて、楽しみながら続けてください」と坂根室長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/02/15 05:00)
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