治療・予防 2024/12/24 05:00
進行を予測する指標発見
~間質性肺炎の早期治療で(大阪大学大学院 榎本貴俊医師ら)~
多発性硬化症(MS)は、体を動かしたり感覚を伝えたりする脳や脊髄などの神経が、免疫の誤作動で攻撃されて起こる難病だ。若い女性に多く、運動や視覚にさまざまな症状が表れる。国立病院機構北海道医療センター(札幌市)臨床研究部の新野正明部長に治療や生活上の課題について聞いた。
多発性硬化症の主な症状
◇しびれ、脱力
MSの症状は、疲れやすい、しびれ、手足の感覚異常、ふらつき、歩きにくい、脱力、めまい、物が二重に見える、排尿障害などがある。こうした症状が良くなったり再発したりを繰り返すことが多い。国内の患者は約1万7600人と希少な病気で、平均30歳前後で発症する。
遺伝的な背景と環境が発症に影響すると考えられている。国内外で高緯度地域に多いことから、環境要因の一つに日照時間が想定される。新野部長は「日光を浴びることが免疫機能の調節に影響することや、日光を浴びる時間が短いと免疫の過剰反応を調節するビタミンDが体内で十分につくられないことなどが考えられます」。ごく一般的なEBV(エプスタイン・バールウイルス)の感染も、MS発症に関連するとみられる。
治療は▽今ある症状を抑える▽再発を予防する―などの目的に応じて行われるが、再発予防薬がこの20年余りで8種類に増え、再発で入院するケースは減ったという。しかし、根治が期待できる治療法はまだない。
◇家庭、職場、学校で
長く病気と付き合う中、多くの患者が直面するのは家庭や職場、学校などで病状について正しく理解されないこと。「疲れやすさやしびれなど、外見から分かりにくい症状があると、『怠けている』と誤解されるそうです。MSの人は体温の上昇で一時的に症状が悪くなることがあります。ですが、夏にオフィス内などが暑くても、本人から温度調整を頼みにくい場合もあります」
職場の人の理解を得るため、患者と共に診察室に入ってもらい、新野部長が説明することもある。患者には、仕事を辞めてしまうと生活への影響が大きいため、続けるようアドバイスしているという。
「一人で悩まず、周囲の人や医療従事者に不安や疑問を相談してください。診察時間には限りがあるかもしれないので、症状の変化や聞きたいことをあらかじめメモしておくとよいでしょう」と新野部長は話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/10/23 05:00)
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