治療・予防 2024/12/13 05:00
年のせいと放置しない
~アイフレイルに隠れた病気も(かとう眼科医院 加藤圭一院長)~
骨と筋肉をつなぐ腱(けん)と、腱を包む腱鞘(けんしょう)に摩擦が生じて炎症が起こる腱鞘炎。主に手首や指で起こるイメージがあるが、腱や腱鞘がある部位なら、全身どこでも起こり得るという。足に起こる腱鞘炎について、聖隷浜松病院(浜松市中央区)足の外科の滝正徳部長に聞いた。
足の腱鞘炎で痛みの出やすい部分
◇靴や加齢も原因
通常、腱は筒状の腱鞘の中で伸び縮みする。足を使い過ぎると腱や腱鞘に負担が掛かり、腫れや痛みを伴う腱鞘炎を発症する。
「足の腱鞘炎は、足を酷使するスポーツ選手だけでなく、合わない靴やバランスの悪い歩き方、加齢が原因で発症するケースがあります」
特に、成人以降に発症する扁平(へんぺい)足は注意が必要だ。扁平足とは、土踏まずのアーチ構造がつぶれて、足の裏が平らになった状態で、自覚症状がない人も多い。「原因は長年の酷使や加齢による筋力の低下、腱の緩みなどが考えられ、内側のくるぶし周辺に痛みや腫れを伴う後脛骨(けいこつ)筋の腱鞘炎につながります」
後脛骨筋はふくらはぎから内くるぶしの後ろ、土踏まずまでを通る筋肉で、土踏まずを維持し、地面からの衝撃を吸収する働きがある。足の腱鞘炎で最も多いのが、後脛骨筋腱鞘炎だ。「転倒や捻挫をしたわけでもないのに腫れや痛みがある場合は、足の腱鞘炎の可能性があります」
◇使ったら足を休める
次に多いのが長母趾屈筋腱(ちょうぼしくっきんけん)の炎症。特徴は足の親指を曲げようとすると、足首の後ろのあたりに生じる痛みだ。悪化すると、ばね指と同様に、足の指を動かすときに指がカクンと跳ね上がり、引っ掛かったような感覚が生じる。
「気になる症状があるときは、日本足の外科学会のホームページで足の外科認定医を検索して、受診するのもお勧めです」
レントゲン、超音波検査、MRIなどの画像診断で状態を把握する。軽度の場合は装具や痛み止め、運動療法など保存的治療をし、重症の場合は手術になるケースも。扁平足による後脛骨筋腱鞘炎と診断がつけば、靴と中敷き(インソール)で扁平足の矯正治療を行う。
「普段から靴はひもの付いた運動靴を選び、かかとは踏まないようにしましょう。土踏まず部分にある靴の芯材が劣化すると、足のアーチが下がってしまい、扁平足や腱鞘炎の発症、進行を助長しかねません。靴は半年に1度をめどに交換を」
長く歩いたときは、帰宅後に足を休める点も重要だという。「自分が気持ち良いと感じるところを触ったり、足の裏を押したりするなど、中高年こそ日ごろのケアが、足の腱鞘炎の予防につながります」と滝部長は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/12/16 05:00)
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