治療・予防 2025/06/12 05:00
親指に痛みも
~スマホ使い過ぎで(稲毛病院 佐藤務医師)~
慢性腎臓病(CKD)は、血液をろ過して老廃物を尿として排出する腎臓の構造や機能の異常が3カ月以上続く病気だ。進行すると透析が必要になり、心臓や脳血管の病気を合併する恐れもある。川崎医科大高齢者医療センター(岡山市)の柏原直樹病院長(腎臓内科)は、未診断の人も多いとして注意を呼び掛けている。
慢性腎臓病対策
日本腎臓学会によると、2024年に発表されたデータでは、慢性腎臓病の患者数は約2000万人、成人の5人に1人がかかっていると推計された。
「05年時点では、約1330万人とされていました。健康診断の受診者のデータに基づく推計ですが、健診を受けていない人に慢性腎臓病が多いとみられるため、未受診者を考慮して精緻に再解析しました」
推計方法が異なるため、約20年で患者が600万人以上増えたとは言えない。ただし、腎機能は加齢に伴い低下することと、高齢者人口の増加から、「実際に患者が増えている可能性もある」と柏原病院長はみる。
同様に患者数が多い高血圧や糖尿病、さまざまな病気の原因となる肥満、喫煙などは、慢性腎臓病の発症や進行にも深く関わっている。
初期の慢性腎臓病は症状がほとんどなく、約90%は未診断と報告されている。時間とともに腎機能が低下すると、むくみやだるさなどの症状が表れる。「気が付いた時には重症化していることがしばしばあります」。腎臓が機能を果たせないほど病気が進行すると、透析や腎臓移植が必要となる。
◇まずはかかりつけ医に
発症や進行を抑制する対策の基本は、生活習慣の改善。禁煙、血圧の管理、運動、肥満を防ぐことなどが鍵となる。
進行を抑える薬としては、21年にSGLT2阻害薬が承認された。SGLT2阻害薬はもともと糖尿病の薬だが、腎臓の保護作用もあって透析導入や心血管の疾患による死亡を減らせることが分かった。
腎臓の機能は、ろ過能を表すeGFR(推算糸球体ろ過量)という血液検査値やタンパク尿の検査で分かる。柏原病院長は「健診でeGFRや尿の異常を指摘されたら、かかりつけ医に相談してください」と助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/05/19 05:00)
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