治療・予防 2024/11/22 05:00
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小学校や中学校、高校では入学時に心電図検査が義務付けられている。その際に見つかるケースが少なくないのが不整脈の一種「ウォルフ・パーキンソン・ホワイト(WPW)症候群」だ。国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)小児循環器科の坂口平馬医長に話を聞いた。
▽めまいや失神も
坂口医長は「心房と心室の間には『房室結節』という刺激を電気信号に換える回路があります。心房が動くとその刺激が房室結節を通って電気信号に換わり、心室へと伝わり、心房が動いてから約0.1~0.2秒後に心室が動く仕組みとなっています」と説明する。
しかし、WPW症候群では房室結節とは別に電気信号を心室へ伝えてしまうバイパスのような通り道(副伝導路)が先天的に存在するため、通常より早いタイミングで心室を動かすことがある。普段は無症状だが、突然脈拍が増えて動悸(どうき)や息切れ、めまい、失神などを伴う発作を起こしてしまう。発作は運動や体調不良、ぜんそくなどが引き金になる。
▽スポーツ選手らは積極治療を
「心拍数の増える『頻拍』そのものは怖くはありません。しかし、WPW症候群の患者さんが将来、心房にけいれんを起こす心房細動を発症すると突然死する危険性があります」と坂口医長。心房のけいれんによる電気信号は、普通は房室結節が抑制してくれるが、WPW症候群では副伝導路が大量の電気信号を心室に伝えてしまい、心室がけいれんに合わせて収縮することになる。
発作が頻繁に起こる場合に加え、症状がなくてもスポーツ選手を目指す人や心房細動のリスクが高い60歳以上の人は積極的に治療するのが望ましいという。治療法には、頻拍発作を鎮静、予防する薬物療法の他、カテーテルを使い副伝導路部分を高周波電流で焼き切る「アブレーション治療」などがある。アブレーション治療によって約9割が根治するという。
「検診でWPW症候群が見つかっても、すぐ治療が必要になるとは限りません。あまり不安がらずに専門医と相談しながら治療方針を決めるのがよいでしょう」と坂口医長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/10/10 09:55)
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