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B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)が血液や体液を介して感染する病気だ。国内の患者数は4万9000人、HBVを体内に持つキャリアー(保菌者)は150万人と推計される。武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市)の泉並木院長は「患者さんの多くは50~60代で、1986年から行われている母子感染防止事業により30歳以下のキャリアーはほとんどいません。従来主流だったタイプとは異なる欧米由来のHBVが若者層に広がっている点が問題です」と指摘する。
▽重症化しやすいタイプ
HBVの感染経路には、性的接触、輸血、注射器の使い回し、針刺し事故などの「水平感染」と、出産時の母子感染といった「垂直感染」がある。HBVが大人の体内に入っても、大抵の人は肝炎にならず自然治癒する。2~3割は急性肝炎になって発熱や黄疸(おうだん)、全身倦怠(けんたい)感などに見舞われるが、いずれもウイルスは消失する。ところが、乳幼児や免疫機能の低下した人が感染すると、ウイルスを排除できず、HBVは肝細胞にすみ着いてしまう。こうした人をキャリアーと呼ぶ。キャリアーも、大半は症状のないまま推移する(無症候性キャリアー)が、1割程度が慢性肝炎になり、肝硬変、肝がんへと進展する点が恐れられている。
B型肝炎の感染経路
日本人に多いHBVのタイプは、遺伝子型(ジェノタイプ)BとCで、水平感染からのキャリアー化はまれだった。ところが、国際化が進んだことにより性的接触で欧米型のジェノタイプAに感染する人が増えている。泉院長は「ジェノタイプAは成人でもキャリアー化しやすく、肝炎が重症化・慢性化する懸念もあります。肝がんへの進行を防ぐためには、適切な検査と治療が欠かせません」と語る。
▽40歳の節目で検診を
ジェノタイプAの感染を防ぐには、不特定多数との性的接触を避ける、コンドームを使用するといった常識的な自衛策が今も有効だ。パートナーがHBVキャリアーである場合、B型肝炎ワクチンの接種で感染を予防できるという。さらに、衛生管理の不十分な施設でタトゥーやピアスを入れて、ウイルスが侵入し感染したケースがあることは覚えておきたい。
泉院長は「キャリアーの人は、ウイルス量が増えていないか、肝臓が線維化して硬くなっていないか、現在の治療方法が適切かなどについて、1年に1度は専門医に診てもらうべきです。また、感染者であるという自覚のない人もいるので、40歳くらいを節目に、自治体が実施する肝炎ウイルス検診を受けてみたらどうでしょう」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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