一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師

(第10回)
病気治り、生まれ変わる
費用対効果の考え方は

  ◇生活の質も改善

 減量手術を受ける患者は6割が女性。年齢は30代後半から40代と比較的若い世代が多い。ある40代の女性は、透析を受けている夫の腎臓移植のドナーになるために減量手術を受けた。

 「体格指数(BMI)が38、糖尿病でインスリンを使っていて、ご自身が腎不全になりそうな状態だったので、とてもドナーになることは考えられませんでした。でも、スリーブ・バイパス術を行ったら手術後約1年で、BMI28以下で高血圧も高脂血症もない、薬を使わなくても血糖値が低く保たれているという腎移植のドナーの適応基準を満たすまでに改善したんです。ここまでの回復は内科治療では考えられないと思います」

 また、他の病気で手術が必要な場合、太っているというだけで断られる場合もあるというが、そうしたケースにも減量手術が役に立つ。

 「皮下脂肪が厚いため傷がふさがりにくいなどのトラブルが非常に多いですし、麻酔のリスクが高いからと手術を断られることもあります。がんが見つかったのに手術ができないというような場合、先に減量手術をしてから、がんの手術を受けるということもあるんですよ」

腹腔鏡手術で鉗子を操る練習。減量手術の目的は「健康を取り戻すこと」
 痩せたことで生活が一変し、生まれ変わったと話す人も多いという。

  「太っているだけで就職できなかった人ができるようになったり、いろんな場所に行かれるようになったりすると、生活の質もだいぶ変わってきますよね。飛行機の座席が狭くてビジネスクラスに乗るので高くついて困っていた人が、減量手術を受けて『やっとエコノミーに乗れるようになりました』と喜んでいました」(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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