こちら診察室 がんを知ろう
がん教育を受けてどう感じる?
~子どもの疑問、感想を紹介~ 第9回
厚生労働省が推奨するがん検診は、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸(けい)がん検診の五つです。これら五つのがん検診受診率は、せいぜい50%程度と上昇傾向にあるものの、他の先進国に比べてまだまだ低いことが問題視されています。がん検診を受けない理由を定期的に国が調査しています。
2019年度は、上から順に「受ける時間がないから」(28.9%)、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」(25.0%)、「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」(23.4%)、「費用がかかり経済的にも負担になるから」(11.8%)、「がんであると分かるのが怖いから」(9.2%)―となっています。一方、子どもたちはがんに対してどのように感じているのでしょうか。
◇「がんは怖い」が7割
がん教育の特別授業の前に中学校側にしてもらったアンケートによると、「がんについてどんな印象を持っているか?」という質問に対して、「怖い」(68%)、「どちらかといえば怖い」(22%)、「どちらかといえば怖くない」(7%)、「怖くない」(3%)―という結果でした。
「怖い」と考える理由の多くは、「死につながるから」「家族ががんで亡くなったから」「がんの治療は難しい、とドラマなどでやっていたから」―でした。一方、「怖くない」と考える理由としては、「がんについてあまり知らないから」「身近に感じないから」「医療が発展しており、早期発見すれば助かる可能性が高いから」―などが挙げられました。ほとんどの子どもががんを「怖い」と考えており、特に、家族やテレビなどの影響で身近に感じるほど「怖い」というイメージが強くなるのでしょう。
がん教育の授業では多くの質問が寄せられた
◇156の質問
ある中学校で授業前にいただいた156の質問を分類すると、「がんという病気について」(52.6%)、「治療について」(18.6%)、「予防・検診について」(20.5%)、「がん患者の心理面、がん患者との関わり方」(7.6%)、「私のキャリアについて」(1.3%)―でした。156問もあったことがまず驚きですが、どんな質問が多かったか、少し列挙してみます。子どもに聞かれて答えられるか、少し考えてみてください。もしかしたら、学校でがん教育を受けたお子さんに聞かれるかもしれません。
◇「がんはうつるか?」
まず、「がんという病気について」です。
・どうしてがんになるのですか。
・がんになる人に共通点や特徴はありますか。また、なりにくい人の特徴はありますか。
・がんは遺伝しますか。がんは人にうつりますか。
・がんになると、どのような症状が出るのですか。
・がんが治る人は増えていますか。
◇「治療法は誰が決めるのか?」
次に「治療」についてです。
・手術以外に治療法がありますか。
・完全に治るまでは、早くてどのくらいの時間とお金がかかりますか。
・がんの治療法は誰が決めるのですか。患者が決められるのでしょうか。
「予防・検診について」は次のようでした。
・日ごろからできる予防法は何ですか。
・がん検診は何歳から受けられますか。どんな検査を行うのでしょうか。
・がんになりやすい食べ物はありますか。焦げたものを食べるとがんになるのでしょうか。
・がんにまつわる情報の中にはうそが多いのでしょうか。
・子宮頸がんには予防するワクチンがあると聞きました。接種した方がよいですか。
◇「自殺を選ぶ権利はあるか?」
最後が「がん患者の心理面、がん患者との関わり方」です。
・がんになった人はどういう気持ちなのでしょう。
・がんになってしまった人を励ます時はどのように励ましますか。
・自分はがんになったら安楽死を選ぶ選択肢もありだと思いますが、先生はどう思いますか。がんになった人が自殺を選ぶ権利はありますか。
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(2023/07/28 05:00)
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