こちら診察室 きちんと治そう、アトピー性皮膚炎

第5回 ダニ対策や衣服の注意点…日常の心得は
~アトピー性皮膚炎、生活に欠かせない工夫~ 野村有子・野村皮膚科医院院長

 アトピー性皮膚炎の直接的な原因は、アレルギーを引き起こす原因物質に触れたり、食べたりすることです。ストレスや疲れ、汗といった間接的な原因で悪化することもあります。

 今回は、症状を悪化させないための日常生活の心得について、具体例とともに紹介したいと思います。

 直接の原因物質となるアレルゲン(抗原)は、血液検査や皮膚テストで調べることができます。最もアレルギー反応が出やすいのが、目に見えないほど小さいヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニといったチリダニ科のダニによるアレルギーです。

 チリダニはその卵やフンなども全て、アレルギーの原因になります。高温多湿で、餌(人やペットのフケ、アカ、カビ、食べ物のくずなど)の多い環境を好み、カーペットや畳、布団、布製ソファなどでよく繁殖します。密閉度が高まった最近の日本の家屋は、ダニにとって快適な空間ともいえます。

 効果的なダニ対策法は、洗えるものはとにかく洗うこと。水で洗い流すことでダニやその餌が激減します。

 また、風通しを良くして室内に湿気がこもらないようにすることも大切です。

 カーペットの部屋は、1平方㍍当たり20秒以上徹底的に掃除機をかけるか、カーペットを外したフローリングの床に変えます。布団はできるだけ天日干しして、その後1平方㍍当たり20秒以上掃除機をかけます。布団乾燥機や防ダニ布団を利用するのも有効です。

 ◇花粉皮膚炎にも注意する

 野村皮膚科医院の「ダニ対策モデルルーム」。防ダニ布団やすのこベッドなどを展示し、ダニ対策の指導を行っている(野村医師提供)

 花粉がアトピー性皮膚炎の原因になっていることもあります。スギ、ヒノキ、ブタクサなど、どの植物の花粉に対してアレルギーがあるかどうかは、血液検査で調べることができます。

 アレルギーのある人は花粉が飛ぶ時期、くしゃみや目のかゆみ以外に、顔や首などの皮膚がかゆくなったり赤くなったりすることがあり、花粉皮膚炎ともいわれます。抗ヒスタミン薬を飲むと、皮膚炎についても食い止めることができます。

 外出時は、帽子、マスク、花粉対策メガネを着用し、花粉が付着しにくい表面がつるっとしたコートを羽織ります。帰宅時は屋内へ入る前に衣類や頭髪に付いた花粉をはらい落とします。

 洗濯物は部屋干し、もしくは乾燥機を使用し、布団も布団乾燥機を使って外に干さないように気をつけるとよいでしょう。

 さらに、衣服によっては着ること自体による皮膚への刺激も、症状悪化の原因になっていることがあります。

 具体的には、熱がこもって蒸れやすい、表面がチクチクする、きつく体を締め付けるといった状態の衣服を着ると悪化の心配があります。

 こうした服を着て、皮膚がかゆくなる場合には、衣服の素材や洗剤・柔軟剤などをチェックし、見直すことも必要です。

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