こちら診察室 きちんと治そう、アトピー性皮膚炎

第6回 光線療法やバイオ医薬品の注射薬も
~アトピー性皮膚炎の最新治療と今後は~ 野村有子・野村皮膚科医院院長

 アトピー性皮膚炎は「いくら治療してもちっとも治らない」という場合が多々あります。そんなとき、私は必ず治療を一から見直します。

 まず、使用しているステロイド外用薬(塗り薬)などの使い方がふさわしいのか確認をします。症状に対して弱すぎたり、使用量が少なすぎたりしては治りません。

 野村皮膚科医院の野村有子院長

 また、症状を悪化させる直接的、間接的な原因に見落としがないのか、再度チェックします。それでもなかなか治らない場合、紫外線を照射する「光線療法」や、最新の注射薬「デュピルマブ」を使う治療法が選択肢となります。

 光線療法は、ナローバンドUVB療法やエキシマ療法があります。紫外線をかゆみや赤みのある部分に直接照射することで、炎症反応を抑える効果があります。

 1~2週に1回程度の治療を継続することで、かゆみや皮膚炎が徐々に改善してきます。専用の紫外線照射器をもっている医療機関で、行うことができます。

 私のクリニックでは、かゆみや赤みの強い患者や結節性痒疹(ようしん)というかゆいしこりの多い患者に、エキシマ療法を主に行っています。数回の紫外線照射でかゆみや皮疹が軽減してきて、10回くらいでかなり改善しています。

 ◇昨年登場した注射薬は重症患者向け

 一方、2018年から一般診療に使われるようになったのが、注射薬の「デュピルマブ(商品名・デュピクセント)」。「抗体医薬」と呼ばれるバイオ医薬品です。

 アトピー性皮膚炎では、皮膚に存在する「2型ヘルパーT(Th2)細胞」という免疫細胞が多くなっています。

 左の写真はデュピルマブ投与前。右は投与2カ月後(野村医師提供)

 この細胞が産生するインターロイキン(IL)4、IL13物質(サイトカイン=生理活性物質)が炎症を引き起こして、かゆみが生じたり皮膚のバリアー機能を損なったりして、アトピー性皮膚炎が悪化していきます。

 デュピルマブは、このIL4とIL13を直接抑え、かゆみなどの症状や皮疹を改善させる薬です。今までの治療では十分な効果が得られなかった重症のアトピー性皮膚炎の患者が対象となります。

 注射は2週間に1回行います。バイオ医薬品なので、治療費は高額です。また、ごくまれにアナフィラキシーなどの副作用が起きる場合もあるので、アトピー性皮膚炎の治療に精通している皮膚科で治療を行うとよいでしょう。

 私のクリニックでも、これまでに10例以上の重症患者に、この注射薬を使用しています。1回目の注射後5~7日くらいでかゆみが軽くなり、4回目くらい(約2カ月後)から皮膚の赤みやざらつき感が軽減している例が多いように思います。

 現在、さらに新しい治療法がどんどん研究開発されています。アレルギーを起こす免疫的な仕組みが解明されてきたことにより、開発が進んでいるのです。

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