ヘビにかまれたとき 家庭の医学

 日本国内の毒ヘビは、マムシとヤマカガシ(本土のみ)、ハブ(鹿児島県トカラ列島の一部、奄美群島〈※喜界島、沖永良部島・与論島を除く〉、沖縄県)、ウミヘビ(ヒロオウミヘビ、エラブウミヘビ)の4種類です。
 マムシとハブは頭部が三角形で、かまれると激痛がして赤くはれてきます。
 また、ヘビの毒牙により平行な2個の傷(牙痕)がみられます。かまれたところに激痛があり、赤くはれて牙痕をみとめるときは毒ヘビの可能性が非常に高いので、ただちに医師の診察を受けてください。

 ヤマカガシは上あごの奥に毒牙(Duvernoy腺)があり、かまれた場合の牙痕は不明瞭で、症状も強くありません。しかし、かまれてから5~10時間後に出血しやすい症状(咬傷〈こうしょう〉部からの出血、歯ぐきからの出血、鼻出血、皮下出血)があり、最悪の場合は脳出血、急性腎不全、播種(はしゅ)性血管内凝固症候群(DIC)を起こし死亡例も報告されています。かまれてから時間がたっても「おかしいな?」と思ったら、すみやかに医療機関を受診しましょう。
 最近はスキューバダイビングを楽しむ人も多くなりましたが、海中で注意してほしいのがウミヘビ咬傷です。ウミヘビはめったにかむことはないとされていますが、毒素は神経毒であり、筋肉の麻痺が生じ呼吸障害を起こします。ウミヘビ咬傷は海中で発生することが多いので、かまれたかなと思ったらただちに陸上か船上に上がり、病院を受診しましょう。

■かまれたときに気をつけること
 ヘビにかまれたときは、あわてないことが大切です。あわてて動き回ったり、走り回ったりすると手足の血流がよくなり、その分、短時間で全身にヘビ毒も回ってしまいます。ヘビにかまれたら、落ち着いてかまれたところより中枢(ちゅうすう)側をタオルなどで軽くしばり、かまれた場所は氷水などで冷やし、ただちに医師の診察を受けましょう。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)