ハチや魚のとげに刺されたとき 家庭の医学

 ハチに刺された場合は、きれいに洗った毛抜きなどでハチの針を抜いて、刺されたところをよく消毒します。しかし、ハチ刺傷(ししょう)でもっとも怖いのはアナフィラキシーショックです。これは、ハチ毒に対する抗体ができて、その人が2回目以降同じ種類のハチに刺されると起こります。ハチに刺されてから数分以内に全身の皮膚が赤くなり、嘔吐や呼吸困難をうったえ、意識がなくなり、血圧も低下します。
 死亡することもしばしばあり、具合がおかしくなったらただちに救急車を呼んでください。森林で作業をされる人など、ハチ刺傷のリスクが高い人には、アドレナリンの自己注射薬を持参されるとよいでしょう。
 魚のとげなどに刺されたときは、とげ抜きでとげを抜きとり、消毒し、清潔なガーゼを当てておきましょう。もし、化膿したらすぐに医師の診察を受けます。
 また、海水中に生息する腸炎ビブリオ類似のビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)は、糖尿病や慢性肝疾患(肝硬変)などの持病がある人が、海水中でのけがや魚介類の生食により感染すると、四肢の水疱(すいほう)、紅斑(こうはん)、壊死(えし)を伴う重症の敗血症を起こすことが知られています。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)