ネズミにかまれたとき 家庭の医学

 日本には、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ、ハタネズミなどが生息しています。さらにリスや、ペットのハムスターを総称して齧歯類(げっしるい)といいます。齧歯類は、さきの鋭くとがった一対の門歯(前歯)をもち、これにかまれると深い咬傷(こうしょう)となったり、種々の感染症が起こることがあります。
 ネズミ類にかまれたときは、咬傷部位を水道水などでよく洗い、消毒液で消毒し、清潔なガーゼでおおってから医療機関を受診します。また、ネズミ類はサルモネラ、腸チフスパラチフスE型肝炎腎症候性出血熱(ハンタウイルス感染症)、レプトスピラ症の病原体を、海外ではペストラッサ熱エボラ出血熱などの恐ろしい病原体を保有しています。
 最近では、ペットとしてネズミ類を飼育されている人も多いようですが、ハツカネズミやハムスター、モルモットに何回かかまれているうちに、これらの動物の体液や体毛のたんぱく質に対する抗体ができ、かまれてアナフィラキシーショックを起こし、死亡することもあります。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)