一酸化炭素中毒のメカニズムと手当て 家庭の医学

■一酸化炭素中毒のメカニズム
 一酸化炭素(CO)中毒は、家屋火災、ガス器具の不完全燃焼、自動車排気ガス吸入、炭坑内・トンネル内爆発事故などで発生し、時として集団発生します。
 一酸化炭素と赤血球のヘモグロビン(Hb)の親和性は、酸素とHbの親和性の約250倍です。しかし、一酸化炭素-ヘモグロビン(CO-Hb)は酸素運搬能をもたないため、細胞、組織および器官は酸素欠乏の状況となり、最後は死滅してしまいます。
 一酸化炭素中毒の症状は、血中CO-Hb濃度と関係しています。


■一酸化炭素中毒の手当て
 室内で一酸化炭素(CO)ガス中毒者をみつけたら、救助者はまず窓をあけ、新鮮な空気を入れ換気をしてください。このとき、救助者がガス中毒にならないよう、自分の息をとめて救助するようにしましょう。しかし、救助者の判断により、救助を断念し、ただちに119番通報することを優先させる場合もあります。
 救助の際は、ガスの元栓を切り、火の気がないことを確認して、患者さんを現場から救出し、安全な場所へ移動させ新鮮な空気を吸わせます。次に意識状態を確認します。意識状態がわるい場合は、ただちに回復体位としてください。
 一酸化炭素中毒は、あとになって脳や脊髄(せきずい)を障害することがあります。意識が改善したあとも、医師の診察を受けることが重要です。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)