CT・MRI検査

■CT検査
 CT(コンピュータ断層撮影)検査とは、ドーナツ型をした機器の中にあるX線照射装置と対側にある検出器のセットがからだのまわりを回転し、輪切りの断層撮影をする検査です。これにより得られた輪切りの画像をもとに、コンピュータ解析によって立体的な画像をつくり出し、体内のようすを調べることができます。
 近年は見やすい画像をつくる技術の進歩によって、複雑なかたちをしたものもわかりやすい画像として見ることができるようになっています。このため、大動脈瘤(りゅう)や大動脈解離の診断においては重要な役割を果たしており、手術前の評価として欠かせないものです。
 心臓は動いているため撮影はむずかしいとされてきましたが、検出器を横並びにふやして(64列、128列、320列など)同時に多くの断面がとれるようになったことや、検出器とX線照射装置のセットが2つ同時に回転してシャッタースピードを速くするなど、技術の発展がめざましく、よりリアルで鮮明な画像がとれるようになりました。これにより、心臓に血液を送る冠動脈や、心臓の中のかたちや弁も見ることができるようになり、急性心筋梗塞狭心症などの診断に役立っています。
 特に、心臓そのものに血液を送る冠動脈という血管は、これまで心臓カテーテル検査でしか見ることができませんでしたが、からだにカテーテルという細い管を入れずに見ることができる冠動脈CT検査がひろく実施されています。腕の血管から造影剤を注射して検査をおこないますが、実際の撮影時間は1分以内で終わります。検査の準備や息止めの練習などを含めても検査時間は30分以内ですみますが、さらに造影剤のアレルギーがないかどうかようすをみる時間が必要です。

■MRI検査
 いっぽう、MRI(核磁気共鳴画像法)検査も血管や心臓の検査に用いられるようになりました。これは強力な磁場をもつドームのなかに入り、数分間動かずにいる検査です。
 この検査は、からだの組織によって電磁波に対する反応が違うことを利用して画像をつくるものです。CTやX線検査とは異なり放射線を利用しないものなので、被ばくの心配はありません。水や脂肪などがわかりやすく、心臓についても組織の違いを明瞭に分けることができ、目的に応じた撮像法(シーケンス)を選ぶことができます。特に心筋症など、心臓の筋肉が傷んだようすを知りたい場合によくおこなわれています。
 また血液の流量や速さをはかることもでき、病気の状態や手術が必要かを判断するときにも利用されています。

【参照】
 医療機器によるおもな検査:CT(コンピュータ断層撮影)検査MRI(磁気共鳴画像)検査

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団 附属 榊原記念病院 副院長/榊原記念クリニック 院長 井口 信雄