全身性エリテマトーデス〔ぜんしんせいえりてまとーです〕

 全身性エリテマトーデス(SLE)は免疫疾患のなかでも有名な病気です。ほとんどは、若い女性です。
 SLEは全身の臓器にさまざまな障害を起こしてきますが、よくみられる徴候には、発熱、関節痛、皮膚の湿疹(しっしん)、顔面の過度の日焼け、手指の先を水につけたりすると白くなるレイノー現象などがあります。
 SLEの人の腎症はさまざまです。ネフローゼ症候群を主体とするものから血尿だけという人もあります。しかしSLEの場合、尿所見と腎臓の病理組織変化は必ずしも一致しません。
 なお、SLEは、国の定める指定難病として扱われ、医療費補助対象になっています。

[治療]
 腎生検により腎臓の組織変化をきちんと検査し、それぞれの病態にあわせた治療をおこないます。SLEでは長期間にわたり腎障害の治療をおこなっても、時に透析療法が必要となることがありますが、SLEは比較的若い人がなることが多いので腎臓移植の対象になります。
 SLEの治療には多くの場合、副腎皮質ステロイド薬とともに免疫抑制薬であるシクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾリビン、ヒドロキシクロロキンが使われます。最近新しい薬としては、サイトカイン阻害薬であるベリムマブがあります。SLEで多くみられる副腎皮質ステロイド薬の副作用に、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)があります。足の付け根の部分の骨が破壊されますが、人工骨で整復できます。

【参照】リウマチと膠原病:全身性エリテマトーデス

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
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