乾癬〔かんせん〕

 最近、わが国で増加してきている皮膚病の一つです。難治のため、世界中でその治療法が検討されています。いろいろな治療法があり病気をかなりコントロールできますが、しばしば再発し、慢性に続きます。


[症状]
 円形または楕円(だえん)形の紅斑(こうはん)を生じ、その上に銀白色の厚い鱗屑(りんせつ)が固着しています。表面をはがすと、灰白色の雲母(うんも)状のものがとれて、最後に、はがした下から点状の出血があらわれます。“アウスピッツの現象”といいます。かゆみのあることもありますが、多くはありません。全身にできることもありますが、ひじ、ひざのように外力を受けやすいところにできやすいのです。皮膚に傷を受けると、そこに乾癬ができることがあります。これを“ケブネル現象”といいます。
 この銀白色の鱗屑は、はがしても次々にできてくるのが特徴です。頭にできることもあり、このときははじめふけ性と思う人が多いのですが、よく見ると厚いふけで、頭の地肌に強くこびりついており、その境界が鮮明なので区別がつきます。自然に治っていくものもありますが、あとに白斑を残すことがよくあります。関節炎を伴うこともあります(関節症性乾癬)。
 紅斑の上に小さな膿疱(のうほう)が多発することがあります。この膿疱には細菌などはいません。このような膿疱が全身に多発し、発熱や全身のだるさを伴うタイプもあります(膿疱性乾癬)。膿疱性乾癬はふつうの乾癬があって出てくる場合と、そうでなくいきなり膿疱が多発してくる場合とがあります。全身症状が強いこともありますので、きちんとした管理・治療が必要です。

[原因]
 はっきりしていません。外国では遺伝関係が強いとされています。たとえば白人に多く、アメリカの先住民にはきわめてまれとされています。日本人も少ないほうです。それが近年多くなってきたのは、食生活が欧米化されて脂質の多い食事をとるようになったためといわれています。

[治療]
 副腎皮質ステロイド軟膏(なんこう)やビタミンD3軟膏がいろいろなかたちで使われます。紫外線療法(ナローバンドUVB療法など)、エトレチナート(ビタミンA酸誘導体)の内服などがおこなわれています。重症で治りにくいタイプには、免疫抑制薬の内服をすると効果があります。最近では、重症、難治性の乾癬に生物学的製剤(生物がつくる物質で、免疫に関与するサイトカインに作用する薬)が使用され、効果を発揮しています。
 膿疱(うみをもつ小さな水疱)が出てくる膿疱性乾癬は、国が指定する難病医療費助成制度対象疾病(指定難病)の一つです。多くの場合、入院治療を含めたしっかりした対応が必要です。

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厚労省記者クラブから