トリコモナス感染〔とりこもなすかんせん〕

 腟(ちつ)トリコモナス原虫による感染症で、男性では尿道や前立腺の粘膜表面に、女性では腟や子宮頸(けい)部に感染します。男性では多くの場合無症状ですが、一部の感染者ではクラミジア性尿道炎に近い症状が生じます。いっぽう、女性では20~50%は無症状ですが、悪臭の強い泡状のおりものが出たり、外陰部に刺激感や強いかゆみを生じたりすることがあります。
 顕微鏡でトリコモナス原虫の存在を確認することで診断できます。女性では、新鮮な腟分泌物から確認できることが多いですが、男性では診断がむずかしいことがあります。2022年6月にPCR法によってトリコモナスのDNAを検出することで診断する検査方法が保険適用となり、PCR検査で診断が可能となりました。
 治療には、メトロニダゾールの内服または女性の場合は腟剤が使用されます。

【参照】
 女性の病気:トリコモナス腟炎
 性感染症:性器クラミジア感染症

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学講座 講師 亀井 潤)
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