手術の副作用

 日本における人工妊娠中絶手術による母体死亡はほとんどありません。いっぽう、副作用や合併症は、まれとはいえ起こりえます。麻酔の事故、子宮壁を傷つけたり、子宮壁に孔(あな)があいてしまったり(穿孔〈せんこう〉)、出血多量、貧血、感染症などですが、きわめてまれに異所性妊娠の見落としもあります。
 中絶したために不妊症になる可能性は少ないのですが、妊娠が進んでからの手術は、初期に比較して感染症を起こしたり、その後、妊娠した際に流産しやすくなったりすることもあります。手術を軽く考えず、母体保護法の指定医師に施術してもらうのはもちろんですが、妊娠週数や合併症などに応じて適切な医療機関を選びましょう。
 避妊をしないでセックスをすれば妊娠する可能性があるのですから、妊娠を希望しない場合は避妊法の施行を徹底することが重要です。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 名誉院長 安達 知子
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