人工妊娠中絶術

 人工妊娠中絶は妊娠の週数によって方法や危険性、さらにはかかる費用が変わってきます。
 初期(妊娠12週未満)におこなう手術では、まず子宮頸管(けいかん)拡張(子宮口を人工的に開く)をおこないます。妊娠週数やお産の経験の有無にもよりますが、多くの場合は、ラミナリア桿と呼ばれる滅菌した細い海草の棒のようなものを2~3本(あるいは合成された滅菌の細い棒を1本)子宮頸管内に挿入し、この棒が時間をかけてまわりの水分によってゆっくり膨張して子宮口を十分にやさしく開きます。そのあとに、胎児と付属物を取り除く掻爬(そうは)術をおこないます。全身麻酔(通常は静脈麻酔)をしますので、場合により入院も必要です。
 母体にかかる負担を軽くするため手術は早い時期が望まれますが、4~5週目ころまでは子宮もかたくて小さく、かえって掻爬がむずかしいばかりでなく、異所性妊娠と区別することもむずかしいため、6~7週くらいがよいでしょう。10週をすぎると胎児の骨が子宮壁を傷つけたり、ひっかかったりする可能性があります。
 中期(妊娠12週以降22週未満)におこなう手術は胎児がかなり成長しているため、初期のような単純な掻爬のみでは取り出せません。通常は、初期のような子宮頸管拡張を十分におこない、その後、強力な子宮頸管拡張作用と子宮筋の収縮作用をもつプロスタグランジン製剤の腟坐薬を3時間ごとに挿入して、陣痛をつけてお産のようなかたちで胎児を外に出します。ぜんそくや緑内障などの病気のある人はこの薬は使えないため、代わりにメトロイリーゼと呼ばれるゴム風船のような器具を子宮の中に挿入し、これをふくらませて牽引(けんいん)しながら、さらに子宮収縮薬の点滴を用いて、分娩と同じように陣痛をつけておこないます。頸管拡張術もあわせて、手術終了までに2~4日要することも多くあります。胎児と胎盤が子宮から娩出(べんしゅつ)したあとにも、胎盤や卵膜の一部が子宮内に残りやすいため、原則として最後に掻爬術もおこないます。
 妊娠週数が進むと手術の際にいろいろなトラブルが起こりやすく、術後の感染の可能性や乳汁分泌・乳房緊満などもみられます。妊娠を継続できないのならば、早く医師に相談しましょう。
 12週以降に中絶手術を受けた場合には、術後7日以内に手術をおこなった施設のある市区町村長に医師・助産師の死産届を提出し、埋葬許可書を発行してもらう必要があります。また医療機関によっては12週以降の手術をおこなわないところもありますので事前に確認してください。
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