皮膚のおもな病気 家庭の医学

コラム

皮膚病と入浴

 皮膚をたえず清潔にしておくことは、皮膚の衛生上だけでなく、皮膚病の予防のうえでも大切です。
 皮膚科医は皮膚病のときの入浴を禁じていませんが、せっけんの使いかたが大切です。病気の部分をあまりせっけんで強くこすらないこと。使ったあと、せっけんをよく洗い流す必要があります。そうでないと、皮膚の表面、ことにひだにせっけんが残って、これが汗により分解され、出てくるアルカリに皮膚が刺激されるのがわるいのです。一般に皮膚はアルカリに弱いのですが、皮膚病のときは皮膚が敏感になっているので、この害が目立ってくるわけです。
 そうすると、入浴の害を防ぐには2つの方法があることがわかります。
 一つは、入浴したあと、せっけんが皮膚に残っていないよう、よく水で洗い流すこと。そのためにはシャワーを使うのがもっともよいといわれています。せっけんを使わずに、できるだけ新しい風呂に入り、そのあとをやわらかいタオルで、こすらずに、たたくようにして皮膚を乾かすのもよい方法です。温度はあまり熱くなく、なまぬるい湯のほうが適当です。
 もう一つは、せっけんと違って、同じ洗浄力があっても、アルカリを遊離しない中性せっけんを使うことです。しかし、これは皮膚表面の脂肪分を除く力が強く、しょっちゅうくり返していると脂気がなくなり、かえって皮膚がカサカサすることもあります。
 せっけんのなかでは、色のない、香りのないものを選びます。これに代わるものとして、最近は湿疹(しっしん)のために無刺激性の特別のせっけんが販売されていますので、できるだけこれを使うように皮膚科医はすすめています。
 特に乾性の皮膚の人(高齢者には多い)では、せっけんを使いすぎないように、そして白色ワセリン軟膏(なんこう)やヘパリン類似物質外用薬を使用して、皮膚の保湿を心掛けましょう。