産後ケア事業
母子保健法の改正(2019〈令和元〉年)により、2021(令和3)年度から「産後ケア事業」の実施が市区町村の努力義務となり、同事業は、少子化社会対策大綱において2024(令和6)年度末(2025〈令和7〉年3月)までの全国展開を目指すこととなりました。
分娩施設退院後から一定の期間、助産師等の看護職が中心となって、母子に対して、母親の身体的回復と心理的な安定および母子の愛着形成をうながし、母子とその家族が健やかな育児ができるように支援する事業です。実施主体は市区町村(委託可)で、主たる費用は国が2分の1、都道府県と市区町村が4分の1ずつ助成し、利用者の自己負担額は地域の状況や付帯するサービスの内容等で決まります。実施形態として、①短期入所型(宿泊型・ショートステイ型)、②通所型 (デイサービス型)、③居宅訪問型(アウトリーチ型)があります。病院・診療所・助産所・産後ケアセンターなどで実施されることから、分娩後そのまま、その施設で産後ケアを受けることができる施設もあります。
産後ケア事業は、育児不安への指導目的や心身に不調がある場合だけでなく、むしろ育児疲れなどの回復や癒やしのために利用されることは多く、行政も自治体も産後ケアを受けることの判断は女性本人であり、事業がユニバーサルサービスであることを認識しています。母子ともに利用しますが、短期入所型では、夫や家族も宿泊できる施設もあります。現在は、利用するにあたり、特に所得制限のない利用料減免支援が導入されています。
産後ケアのうち、短期入所型を希望する場合は、住民票のある市区町村に問い合わせをおこない、その地区、あるいは市区町村間で連携の契約がある場合は、別の市区町村の産後ケア施設を、助成金を受けて利用することもできます。
(執筆・監修:
恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 名誉院長 安達 知子)