変形性関節症患者の多くは関節痛(以下、OA痛)の程度が天候に左右されると感じているが、OA痛と気象要因の関連はいまだ明らかでない。中国・Shuguang Hospital Affiliated to Shanghai University of Traditional Chinese MedicineのLin Wang氏らは、OA痛と気象要因の関連を検討するシステマチックレビューおよびメタ解析を実施。気圧および湿度はOA痛と正の相関を示し、気温が負の相関を示したとの結果をAnn Med2023; 55: 2196439)に報告した。

14件の研究をレビュー、5件の研究をメタ解析

 Wang氏らは、Cochrane Library、EMBASE、PubMed、Web of Scienceに2022年9月30日までに収載されたOA痛と気象条件に関する研究を検索。研究テーマの性質上ランダム化比較試験は困難なため、抽出されたのは観察研究が主体であった。最終的に14件を研究の方法論的な質を評価したベストエビデンス統合によるシステマチックレビューで定性的に評価し、特定の気象要因とOA痛の定量的な評価が可能な5件についてメタ解析を行った。

 ベストエビデンス統合に含まれた14件はコホート研究11件、症例クロスオーバー研究3件。14件中13件でOA痛の程度が気象要因に影響されるとの一貫した知見が得られ、気象要因とOA痛の関連に強いエビデンスが見いだされた。OA痛と有意な関連を示した研究は気温が8件、気圧が8件、相対湿度が7件、降水量が2件、日照時間が1件だった。

 メタ解析の結果、気圧(プールされたFisher's Z=0.37、95%CI 0.15〜0.59、summary r=0.35、95%CI 0.15〜0.53)、相対湿度(同0.10、0.01〜0.18、0.086、−0.05〜0.22)はOA痛と正の相関が認められた。一方、気温(同−0.38、−0.60〜−0.16、−0.36、−0.54〜−0.16)は負の相関が示された。

 以上から、同氏らは「気象要因がOA痛の程度と有意に関連することが明らかになった。われわれの知る限り、両者の関連を定性的・定量的に検討した研究は今回が初めて。この知見は、OA患者の日常生活における健康管理の参考となる可能性がある」と述べている。

編集部