愛知医科大病院(愛知県長久手市)で2018年、入院していた生後7カ月の男児の人工呼吸器が外れ、重度の脳障害を負った事故があり、愛知県警は21日、適切な処置を怠ったとして、担当していた30~33歳の女性看護師3人を業務上過失傷害容疑で書類送検した。3人の認否は明らかにしていない。関係者によると、県警は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたという。
 送検容疑は18年7月、男児の体の向きを変えた際に人工呼吸器が外れないようにするなどの注意義務を怠り、重度の低酸素脳症にさせた疑い。
 男児は現在も意識不明のままで、両親らは今年1月、3人を刑事告訴。3月には同病院側を相手取り、損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
 訴状などによると、男児は18年7月17日、ウイルス性肺炎の疑いで入院。19日未明に看護師が男児の体の向きを変えた際に呼吸器の管が気道から外れた。モニターの波形が消え、アラームが鳴ったのに、看護師は医師を呼ばず、その後駆け付けた医師にも管が外れた可能性を伝えなかった。男児は約30分にわたり心停止状態に陥った。
 両親らは「看護師は再挿管を試みて食道に誤って入れた上、事故を隠蔽(いんぺい)した」と主張。病院側は、看護師は呼吸器の管が抜けたことを認識していなかったなどと反論している。
 男児の両親は取材に「捜査を尽くしてくれ感謝している。送検され、親としてほっとした。事故を繰り返さないためにも、きちんと処罰を受けてほしい」とコメントした。 (C)時事通信社