米・Pfizer Worldwide Research and Development and MedicalのAditi R. Saxena氏らは、成人2型糖尿病患者411例を対象に、服用前後の絶食が不要な経口GLP-1受容体作動薬danuglipronの有効性と安全性を第Ⅱb相二重盲検並行群間プラセボ対照ランダム化比較試験で検討。その結果、投与開始後16週時において、HbA1cおよび空腹時血糖(FPG)はdanuglipronの全ての用量群で、体重減少は高用量群でプラセボ群と比べて有意な改善が認められ、安全性プロファイルは他のGLP-1受容体作動薬と同等だったとJAMA Netw Open2023; 6: e2314493)に発表した(同試験の結果については、山田悟氏が7月20日公開予定のDoctor's Eyeで解説します)。

5つの用量群に分けて16週間投与

 現在、2型糖尿病の治療に利用可能なGLP-1受容体作動薬は皮下注射薬が主流で、唯一の経口薬であるセマグルチドは服用前後に厳格な絶食が求められる。danuglipronは1日2回服用の経口GLP-1受容体作動薬で、食事とともに服用してもよい。

 今回の第Ⅱb相試験では、8カ国・地域の97施設で食事療法および運動療法でコントロール不良の成人2型糖尿病患者411例(平均年齢58.6歳、男性51%、メトホルミン使用91%、ベースラインの平均HbA1c 8.07%、平均BMI 32.8、平均罹病期間8.8年)を登録。プラセボ群、danuglipron 2.5mg群、10mg群、40mg群、80mg群、120mg群(各用量を1日2回投与)に1:1:1:1:1:1でランダムに割り付けて16週間治療した後、4週間追跡した。

 主要評価項目とした16週時におけるHbA1cのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、プラセボ群の-0.02%に対しdanuglipronの全ての用量群で-0.49~-1.18%と有意に大きく、120mg群におけるプラセボ群との最小二乗平均差は-1.16%(90%CI -1.47~-0.86%、P<0.001)だった。

 FPGに関しても、16週時におけるベースラインからの変化量はプラセボ群と比べてdanuglipronの全ての用量群で有意に大きく、プラセボ群との最小二乗平均差は2.5mg群で-14.12mg/dL(90%CI -25.77~-2.47mg/dL、P=0.046)、120mg群で-33.24mg/dL(同-45.63~-20.84mg/dL、P<0.001)だった。

高用量群のみで有意な体重減少を確認

 一方、danuglipron投与群のうち、16週時にプラセボ群と比べて有意な体重減少が認められたのは、高用量の80mg群(プラセボ群との最小二乗平均差-2.04kg、90%CI -3.01~-1.07kg)と120mg群(同-4.17kg、-5.15~-3.18kg)のみだった(全てP<0.001)。

 治療中に有害事象は224例で538件発現し、68%が軽度、29%が中等度だった。最も発現率が高かったのは悪心(danuglipron群7~33% vs. プラセボ群3%)、次いで下痢(同4~18% vs. 3%)、嘔吐(同0~25% vs. 0%)の順で、高用量群ほど発現率が高かった。

 以上を踏まえ、Saxena氏らは「短期間ではあるものの臨床的に意味のある期間において、成人2型糖尿病患者の血糖および体重コントロールに対するdanuglipronの有効性が一定の用量で示された」と結論。「danuglipronの安全性プロファイルは他のGLP-1受容体作動薬と同等で、皮下注射や服用前後の絶食が不要のため利便性向上が期待できる」と付言している。

(太田敦子)