政府は、マイナンバー制度を巡る相次ぐトラブルを受けた総点検に乗り出した。医療や福祉をはじめとした情報が本人のマイナンバーと正しくひも付けされているか確かめる。これについて総務省は22日、松本剛明総務相をトップとする「地方連携推進本部」を開き、点検の実務を担う自治体の課題を聞き取るなどして支援することを確認。ただ、政府全体では具体的な進め方が固まっておらず、自治体からは作業の負担を懸念する声も出ている。
 制度に関しては、自治体が障害者手帳の情報を別人のマイナンバーにひも付けるケースなどが明らかになっている。政府は、マイナンバーカードの個人向けサイト「マイナポータル」で閲覧できる全29項目の情報について、原則として秋までに、誤ったひも付けがないか点検を完了する予定。まずは7月中に、現状のひも付け方法を関係機関に確認する。
 総務省の推進本部はこれまで、新型コロナウイルスのワクチン接種やマイナカード普及で自治体への働き掛けを担当。この経験を生かして、問題解決につなげる狙いがある。
 ただ、29項目の情報を所管するのは、厚生労働省やデジタル庁、こども家庭庁などにまたがり、具体的な点検範囲や方法はそれぞれが検討に着手した段階だ。ある政令市の担当者は「待ちの状態。政府の『総点検本部』もできたばかりで、すぐに指示は来ないのではないか」と指摘する。
 東京23区の担当者からは「人口が多いのが懸念される。調査をどのようにやるのか分からないが、確認作業はかなり大変になると思う」と不安の声が漏れる。松本総務相は22日の推進本部で「自治体が抱える課題を丁寧に聞き、必要な支援を行う」と強調。政府関係者は「秋までの点検となると、時間があるようでない」と語り、対応を急ぐ必要性を指摘した。 (C)時事通信社