約30年ぶりに肥満治療薬として承認されたGLP-1受容体作動薬セマグルチド(商品名ウゴービ)が11月22日に薬価収載された。日本肥満学会は、これに合わせて「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」を策定し、昨日(11月27日)公開した。
肥満と肥満症は異なる概念
GLP-1受容体作動薬をめぐっては、美容・痩身・ダイエットなどを目的に自由診療での処方が頻発し、限定出荷が生じている現状に鑑み、厚生労働省は『最適使用推進ガイドライン』を公開。ガイドラインの内容を十分理解した上での使用を求めている(関連記事「ウゴービ、厚労省が『最適使用推進ガイドライン』公開」)。
今回のステートメントでは、同薬の適応となる肥満症は「肥満とは異なる概念である」として注意を喚起。日本肥満学会の分類では、BMI 25以上を肥満を定義しているのに対し、肥満症は「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で医学的に減量を必要とする疾患」と定義している。それを踏まえ、ウゴービの適応要件は肥満症かつ下記のA~Dの全てを満たす場合であることを強調している。
表. ウゴービの適応要件
(「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」より)
自殺企図や自殺念慮のある患者への使用に注意
また、GLP-1作動薬の副作用として、低血糖、急性膵炎、胆囊炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸が報告されていることに言及。特に、高度肥満症においてはメンタルヘルスの変化に注意が必要であるとして、自殺企図または自殺念慮を有するまたは既往のある患者には特に注意が必要と指摘している(関連記事「GLP-1作動薬と自殺念慮との関連を調査」)。
(植松玲奈)